「パーム・ナイト」から10年。

なにかで急に気が滅入ってしまっていたのだけど、ぽんっと久しぶりの友人からLINEが入り、「ちょうど10年前の今日、あの日だったよ」と教えてくれた。

池袋での「パーム・ナイト」。

獸木野生・旧伸たまき氏により40年以上続いているコミックを熱く語ろう、という回。同年に初めて開催された新書館の公式イベントで知り合った数人で主催したのだった。この年の出会いは本当になんというか一生の宝物だ。

獸木野生『パーム』オフ会「パーム・ナイト」開催しました

その後も3月のライオンの映画を一緒に見る会をやったり。

『3月のライオン』映画をぶっ通しで観る「ライオン・ナイト」を開催


上京した時に呑んだのも本当楽しかった。いろいろ思い出してなんか人生救われた感。

その後、今年坂口恭平さんを呼んでくれて一緒にイベントのアレコレをやってた彼女が2階のtetoteさんの企画展ついでに赤ちゃんと寄ってくれて、共通の知り合いのことや、自分の投稿きっかけに『虎に翼』を観はじめてた話とかしてくれたりして。嬉しいなぁ。そっかー。坂口さんのトークは6月だったんだ!と思ったり。

自分は「あっという間に時が過ぎる」感じが滅多になくて、いつも毎年「今年の1月のことは遥か昔のようだ」と思ってしまう。6月の坂口恭平さんも2年前くらいに思える。パーム・ナイト、まだ10年前なのか。記憶力のないせいでこんな感じなのかしら。

人に会うことで自分はなんとかやっていける。ほんとは毎日でも呑みに行きたいけど笑、娘の受験やら家庭の事情でそうもいかない。せめてお茶しに寄ってってください。

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自分の書いた昔のPALM関係の記事を読み直していた。獸木野生氏はこう書いている。

さて、人間同士がきちんと礼を交わして別れることは意外にまれです。特に作家には決まった退職年齢もなく、読者に改まって感謝を述べる機会もそうありません。

わたしは長い物語を書いているので、話が終わるときには、ずっと読んでくれた人にきちんとお礼を言いたいものだと常々思ってきました。そして今その時が来たようです。

会いたい人、御礼を言いたい人は、明日にでも会えない人になるかも知れない。会いたい人には今会っておくべきだ。自分に言い聞かせるために。

映画『シビル・ウォー』感想

早くもAmazonプライム入りした話題作『シビル・ウォー』鑑賞。
監督はアレックス・ガーランド(『エクス・マキナ』)

【あらすじ】
連邦政府から19の州が離脱したアメリカでは、テキサス州とカリフォルニア州の同盟からなる「西部勢力」と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。就任3期目に突入した権威主義的な大統領は勝利が近いことをテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。戦場カメラマンのリーをはじめとする4人のジャーナリストは、14カ月にわたって一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うべく、ニューヨークからホワイトハウスを目指して旅に出る。彼らは戦場と化した道を進むなかで、内戦の恐怖と狂気を目の当たりにしていく。

【感想】
近未来のアメリカ内戦の様子、と聞くと何やら政治色強めな事前印象だったが、実際は男女4人のジャーナリストが内戦中にホワイトハウスに向かう数日間を追うディストピア・ロードムービー。実に俺好みな内容。あっという間に終わる。109分。

主役のベテランカメラマン:リーを演じるのが大好きなキルステン・ダンスト(数々の名演が蘇る)。彼女と新人カメラマンのジェシーとの関係だけで最後まで持つ。

国内は内戦状態で敵も味方も中立も良く分からない中、大統領インタビューを目指し、男女4人が車に乗り込みD.C.を目指す。ゾンビものっぽいワクワク感もあり、ユルいシーンと緊張するシーンのバランスがとても良くできている。映画上手すぎ!

緊張のクライマックスは最後ではなく、途中で、大量の死体を始末している途中に彼らを捕まえる「赤メガネ」ジェシー・プレモンスとのシーンだ。ライフルを構え、いつ気まぐれで殺されるか分からないおかしな彼との問答。舞台はまったくそこいらにあるアメリカの田舎町。しかし映画館で観ていたら俺、小便漏らしていたかも、というくらいのヤバさ。解決までの顛末も本当に凄くて。

忘れられない名シーンがいくつもあるデイモン似のジェシー・プレモンスだが、今作の、この1シーンだけでも2024年の映画史に残ると思う。
実はキルステン・ダンストの旦那。元々の役者が出演できなくなった所に、ダンストが推薦したのだとか。

ベテランでもう走ることもままならないがこのツアーに同行しているスティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン演じるベテラン記者サミーがまたいい。佇まいだけで100点。

内戦の背景についてもいろいろ考察したい内容はテンコ盛りだし、この後に聞く『映画雑談』の再聴をめっちゃ楽しみにしている…のだが、そんなの全部すっ飛ばしても、純粋にアクション映画として、出来が良すぎる。

12月にして来たね。すごい奴。アマプラですよ。ぜひ。

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まともに感想が書けてないのは重々承知だが、年末に映画部会が決まってめちゃ嬉しいので、とにかくアップしていきたい。他にも書いてない作品が最近たまってた…。
『夜明けのすべて』『ツイスターズ』『翼の生えた虎』『ザ・メニュー』とか。

舟之川聖子『「頭髪検査」廃止に立ち上がったいち保護者から見えた学校のこと』感想

舟之川聖子『「頭髪検査」廃止に立ち上がったいち保護者から見えた学校のこと』(ひととび〜人と美の表現活動研究室)読了。

今年のふふふのzineで買った『B面の歌を聞け vol.4 〜ことばへの扉を開いてくれたもの」に掲載されていた作者のインタビューを読んだのがきっかけ。

子供の中学校で行われていた頭髪検査に対して疑問を抱き、それを止めるために活動をはじめ、その過程で「権力が使うことば」に気付き、それに対抗する手段を考えたという、長くないインタビューだった。最後に紹介されていたこのzineを、すぐに注文した。

自分も今高3と中2の娘がいて、PTAの委員などの経験もある。いずれもすべて公立学校だが、特に小中学校において、自分が学生だった40年前と、まったく、そのまま!同じ憤りを、そのまま親になっても抱くとは思わなかった。

自分が接してきた学校では、この頭髪検査のような「立ち上がらずにはいられない」事態はなかったのが幸いだが、ところどころであり得ないようなことはあったし、都度必要な場合は、書面や口頭で相談(という体の抗議)をしてきた。その結果少しでも変わったこともあるけども、お決まりの「言葉」で、なかったことにされたケースが殆どだったように思う。

このzineは、そうして感じた、自分の力不足ゆえの残念な気持ちを振り返りつつ、同士は確実にいるんだという勇気と、そして具体的・実践的な戦術・ノウハウを与えてくれる。

未だこの国の学校に根深く存在している「子供は放っておくとけしからんもの。その子供を優れた理想像へと先生が引き上げていく」という物語。ケアでなく支配。おかしな校則の裏にあるこの空気、誰もが感じたことはないだろうか。軍隊でもない教育機関で何故このようなことが…と思うあの仕組みについて、徹底的に、気持ち良いばかりに舟之川氏 seikofunanok が言語化してくれる。

この気持ち良さをなんとか表現したいのだが文章力も語彙力も全く追いつかないので、すみませんが写真でいくつか引用させていただきます。

彼女の抗議活動が気持ち良い結末に終わった訳ではない。気持ち良いのは作者の言語化、抗議の過程とそのロジックであり、対する学校側の反応は…やはり見慣れているアレなのだ。あの構造から抜け出ることはない。

そのことは「はじめに」でまず書かれている。

これは、「対話して相手の状況を知ったことで、お互いに漠然と抱いていた不信や不満が解消された」という類いの話ではありません。残念ながら。

しかし作者は続ける。

この本で特定の学校や人物を料弾する意図はありません。それよりも、自分の家族や自分自身が理不尽な日に遭い、尊厳が損なわれたときに何ができるかを示したい。そして、このような人権侵害の行為を生み出す権力と差別の構造を誰が支えているのかを問いかけたいと思って書きました。これは学校だけで起こっていることではないとも思います。
この本が、苦しみの渦中にいる人、動きはじめた人を励ますものになれば幸いです。

自分は、日本の学校が持つこの権力維持構造が、子供に与える、ひいては自分達の未来に与える多大な影響を、心から憂慮する。

「こういうものだし、解決方法なんてないんだよ。日本人らしいよね。良い所だってあるし。仕方ない」
などとは、絶対に見過ごせないと思っている。

以前紹介した『怒りzine』と併せ「怒りすっきり系」として、大いにお薦めします。

『GALAC』12月号で虎に翼の記事を読む

テレビとラジオの批評誌『GALAC』12月号

初めて買った。編集発行は「NPO放送批評懇談会」。

たしか岡室美奈子さんのXで知った「朝ドラ『虎に翼』が開いた扉」特集が素晴らしい。全20P。

冒頭の座談会、脚本の吉田さん制作統括の尾崎さんまでは良く見るとしても、梛川善郎チーフ演出、石澤かおるPまで加わった4人はなかなか読めない。その後の寄稿も、どれも素晴らしかった。

そもそもの企画の発端と、その後尾崎さんがこの人達を座組として選んだ理由が、詳しく語られている。また、『家庭裁判所物語』という著作があるNHKの清水聡・解説主幹もキーマン。彼は「歴史司法」戦前戦後の司法を専門にした記者だが、これらの本はNHKの取材ではなく個人で時間をとって調べ上げ書いたそう。この清水氏が制作チームの一員として考証に入っている。NHKで脚本作業をしていた吉田さんが「普通は脚本家が直接会うことの少ない」考証の人とNHKの食堂で気軽に会えることの大切さを語っている。現場のこんな話、なかなか聞けない。清水さんは同誌別ページで考証の寄稿もされている。

『虎に翼』は現代の問題を盛り込み「今過ぎるのでは」という声も聞こえた中、それが単なる場所借りではなく、調査や検討により「昔もそうだった」という推測に至った話とか。

痺れたのは撮影のこと。
「今作はマスターショットがうまい。従来朝ドラのようにマルチカメラスイッチングでバンバン繋いでいくのではなく、アングルを決めてそこの中で芝居をするというショットが多用されている」そうで。

配信ドラマはもちろんNHKのドラマも軒並み映像のクオリティが上がっている中「朝ドラだから映像はそこそこで仕方ない」とは言えない。朝ドラにありがちな「小さなセットを写すためのワイドレンズでルーズな俯瞰」という画になった瞬間、途端に醒めてしまうから、できるだけ長い玉(レンズ)でひいて撮るようにしている。全部にピンが合うワイドレンズでどこを見たらよいか分からない映像よりも、1枚の画で役者の芝居と世界観が表現できるようにしたいと考えた。この撮り方は美術にも影響を及ぼしつつ、従来の朝ドラとは違う撮影が実現できた。

あの印象的なカットの数々は、こういう名監督の元で生まれたのだな。

前に「とらつばナイト」で書いた、女学校の先生のカット。これは脚本ではなく梛川演出によるものらしい。座談会でわざわざ取り上げられていて、感激。

同じ方向を向いたさまざまなスタッフがお互いに意見を出し合いそれを採り入れていく現場。
「撮影現場でも、年齢も性別も違うメンバーが、とりあえずこのシーンをどうするかについて相談するときだけは、誰もがフラットに想ったことをしゃべれるという空気を一番大事にしていました。それは『虎に翼』の芯にある憲法14条の精神みたいなことで、このドラマを撮っている以上、そうでなきゃいけないだろうと。」という梛川さんの言葉に痺れた。

仕事としてではなく、個人として、経験談を話したり議論が起こるような撮影現場だったそう。
「例えば女性の照明スタッフが、寅子が再婚して苗字をどうするかというエピソードの撮影時には、自分はどうするんだろうと真剣に考えてしまったという話をしてくれたり、彼女と伊藤沙莉が撮影後にそんな話をしていたり」

以前『虎に翼』は歴代朝ドラの中でNo.1とか、そういうベスト枠には嵌められない、別枠だ。ということを書いたけど、この特集を読んでやっと分かった気がする。

今作は、受け取った人がその中身を自分事にしてしまう力を持っている。別世界のドラマではなく自分のこととして語り出し、つないでいくバトンを確かに手渡したのだ。だからロスどころか、これから引き継いで、続けていく物語なのだと思う。

『虎に翼』以前との違いは、何が正しいのかわからなくなったとき、憲法第14条が、そしてこのドラマが、私たちを等しく照らし出す『灯台であり続けるということだ。
それは朝ドラの未来への1つの希望に違いない。
(批評の目「朝ドラの現在地と『虎に翼』が紡いだ未来」岡室美奈子 同誌より)

『侍タイムスリッパー』最高映画だ!

『侍タイムスリッパー』をTジョイ新潟万代で。
監督・脚本・撮影・照明・編集・車輌他:安田淳一

【あらすじ】
幕末の京都。長州藩士を討つために身を潜めていた会津藩士:高坂新左衛門は、斬り合いの際に落雷を受け、現在の時代劇撮影村にタイムスリップする。
町のポスターで江戸幕府が140年前に滅んだと知り一度は自死を考えるが、親切なお寺の人に助けられ元気を取り戻していく中、偶然TVで時代劇を観て大感動する高坂。「我が身を立てられるのはこれのみ」と刀を握り締め、「斬られ役」として生きていくため撮影所の門を叩く。

【感想】
信頼してるネット知り合いの皆さんが激推ししている上に、タイムリープものとあっては見逃す訳にはいかぬ!やっと鑑賞。

ツッコミどころは色々あれど、そんなの忘れて笑った!泣いた!息を呑んだ!
(久しぶりに映画館で声をあげて笑った)
まー終わった後に拍手したくなる娯楽傑作映画でした。そして映画を扱った映画なので、劇場で観るのが断然向いてると思う。間に合って良かった…

主人公でタイムスリップする会津藩士:高坂を演じる山口馬木也氏がもう、すごい。顔ヂカラ最強。最初から最後まで本当にずっと、彼に夢中。最後の方では、(あれ?この俳優さん、有名な人だよね?名前なんだっけ?)と勘違いしてしまう位にハマってる。敵役の風見恭一郎:冨家ノリマサ氏もそう。

こんな風に、映画が終盤に行くにつれて
「この俳優さん、有名な人だよね。この落ち着きとか迫力とか。観た憶えあるもん」
と思ってしまうような勘違い(本当は初見)、今までなかった体験でした。

実際、知ってる俳優さんは皆無だったのだけど、皆好きになっちゃう。

照明も、時代劇ならこう!というカッキリライトでハマってるし、小学校の頃夕方の再放送で見てた暴れん坊とか水戸黄門の楽しさを思い出したな…。

あと殺陣ね。この話は「殺陣」を中心に廻る。

殺陣の先生役:峰嵐太郎は、初登場で、そこらにジーンズ姿で立っているだけでそれと分かる佇まい、姿勢。これ剣道やってた人なら共感してもらえると思うんだけど、刀の取扱いや姿勢ってごまかしがきかなくて。にわかで憶えた人は分かってしまう(と思う)。全編通し殺陣のリアリティがすごい。この先生役を巡るエピソードがまた泣けます。(エンドロールで献辞されている)

編集のテンポとか節々にツッコミ処や気になるところはあれど、見せ場になるとそれらを一気に忘れる演技と迫力。クライマックスはマジ劇場中で固唾を呑む様が伝わってきた。本当に斬り合いをしているのか?と思ってしまう。

高坂が会津藩の行く末を知るあのシーン、泣かずにはおれんよね…(修学旅行が会津若松だった世代)。高坂を助けるお寺の老夫婦もすごく良かったし、斬られ役仲間達も皆温かくて意地悪も全然なくてそうゆうとこ凄く好き。


時代劇愛と映画愛に包まれた気持ちの良い傑作です。そして本作は、ほぼ自主制作の映画(監督の肩書きをご覧あれ)もともと自主制作で始めたものを、ロケ地である東映京都撮影所の人が脚本を気に入り(充分ではないにしろ)お金を出してもらい制作。試写からどんどん噂が広がってシネコンの人に注目され上映が広がって…という(カメ止めを彷彿とさせる)サクセスストーリーの様子が、パンフレットでも読めます。今もおそらく、そのストーリーの真っ只中。

そう、パンフレット。1200円でこの薄さ?と最初思うのだけど…。

内容も恐らく自主制作。つまりZINEですよ。『侍タイムスリッパ–』という映画のために監督が作った、もしくはファンが作ったZINEのような、手作り感満載のルック。なんか文章の主語が不思議(笑)。役者紹介も今まであまり読んだことのないテイスト。たとえば…

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山本優子役「沙倉ゆうの」

劇中で助監督優子役を演じつつ、実際の撮影での助監督、制作、美術、小道具などスタッフとしても八面六臂の大活躍。
直前までスタッフとして働きつつ、いざ出番が来ると汗だくのまま満足にメイクも直せずカメラの前に立ち、今度は役者としてひたむきに助監督優子を演じきった(後略)
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え?誰目線?みたいな。こういう文章は普通ライターさんは書かないでしょう。でも役者紹介って、通り一遍のプロフィールだったり、映画を白々しく推してる本人コメントが多くて、正直映画パンフレットのガッカリポイントなことが多くない?
『侍…』の役者紹介は、どれを読んでも面白いよ。

公開当初はまだパンフレットは作ってなかったみたい。
他にも撮影裏話満載で、これは買う価値ありますぜ!
やー観れて良かった〜


アトロク「ハン・ガン特集」と『別れを告げない』感想

アトロク @after6junction のハン・ガン特集聴了(約53分)。

ゲストは、世界で初めてハン・ガン作品を翻訳したキム・フナさん、世界で一番多くのハン・ガン作品を翻訳しているという斎藤真理子さん。以下は内容メモ。

●宇垣「精巧で、緻密で、美しくて、静かで。雪国の雪みたい。すごく綺麗なんだけど、肌に落ちるとキーンと痛い。冷たくてすごく残る。その痛みを絶対になかったことにしない。」

●「世界でも特に日本でファンが多い作家。ノーベル文学賞の反応もめちゃ熱い!」

●「実際に読んだ人に、これだけ喜ばれているノーベル文学賞もなかなかないのでは。」

●受賞当日の二人のエピソード、楽しい!

●「肌にクる」文章

●作品的にも人間的にも信頼されている。元々日本に比べ韓国では文学者が尊敬されているが、ハン・ガンは別格。斎藤曰く「韓国純文学の『結晶』」。

●ハン・ガンはどういう作家か?何故日本で受けているのか?>>斎藤「作家もすごいが日本の読者がすごい。WEBなどで綴られる言葉など、感想でものすごい言葉があがってくる。これは他の作家と違う。どうして1冊の本が一人の人間からこれだけの言葉を引き出すことができるのか不思議に思う」

●済州島4・3事件は1948年。イスラエル建国=ナクバが1948年。それからずっと続き今も解決していないことも共通している。今ハン・ガンにノーベル文学賞を与える意味は言わずもがな。

●ハン・ガン最初にお薦めの一冊は
『ギリシャ語の時間』(作家本人推薦だが日韓では難解とも)
『菜食主義者』えぐられる
『そっと静かに』音楽に関するエッセイ集。本人の歌ともリンクしている
『回復する人間』唯一の短編集

7月、北書店にいらして超絶面白い新潟出身翻訳家3人のイベントを行った斎藤真理子さん。その場で買った『別れを告げない』は、その内容から長い間怯えていて、積ん読だった。置賜の一箱古本市に呼ばれ長く読書の時間がとれるのをきっかけに一気に読み進む。以下は読了後にThreadsに書いた感想。

「済州島4・3事件、信じられない大虐殺の歴史が書かれたハン・ガン『別れを告げない』を1か月近くかけて読了。本当に凄まじい。重い。だけど、こういう残虐でやりどころのない辛い話がとても苦手な自分でさえ、読めた。このことが重要だと思う。

こんなメンタルの弱い自分は、戦争やジェノサイドの辛さをどうやって後世に伝えるのか問題について、その手法についてしょっちゅう考えざるを得ないのだが、ハン・ガンの物語り方は、とても大切な解法に思えた。『少年が来る』も今なら読める気がする。」

研ぎ澄まされて鋭くて、確かに痛いのだけど、でもその感触の中に微か、未来の希望や人生への愛が垣間見える。その空気をむさぼるように、取り憑かれたように読み進んでしまう。次から次へと読むには少々自分の生命力が足りないが、でも読み続けたい。読みたいと思わせる魅力がある。出会えて良かった。


「とらつばナイト」レポート

「とらつばナイト」無事終了しました。衆院選投開票日の夜でした。それも感慨深い!

大人数はちょっとどうだろう…と思ったので告知は最小限、お知りあい経由の方達が集まりました。総勢6人(1人体調不良で欠席残念!)。半分の方は2時間半位で帰宅。あと半数は4時間くらいの開催時間。

予想通り、時間はぜんぜん足りませんでした。ぜひこれは二回目でも、何度でも、開催していきたいなぁ。というより「虎に翼」を冠にしたトークイベントや呑み会を定期的に開催したいくらい、ドラマを超えて大切なムーブメントだったように思います。

ドラマの感想ではあるのだけど、皆さんの日々考えていること、これまでの「はて?」が滲み出ているような感じがたまらなくグっと来てしまう。虎に翼ならでは。

(ネットで拾った)全話を一言でダイジェストした一覧表を配布したのですが、とらつばは1話に結構な内容を盛り込んでいるので、短いダイジェストではどの話か分からないのが多かった。1話の中にあまりにも色々内容が詰め込まれているので、インスタでは感想が追いつかずThreadsに書いていたのだから。

人数が半分に減ってからは、このThreadsの感想を追っていって色々思い出し、話すことができてすっきり。書いておくもんだな。

ちなみに今自分は「自主朝ドラ(オンデマンドで朝勝手に観る)」でとらつば2周目絶賛放映中なので、ロスどころかとらつばブーム真っ最中。

全話通して一番のシーンはどこかと聴かれたら、高等試験に合格した後、金屏風の前の演説。
あの内容。あの口調。あの表情。何回観ても(ノД`)・゜・。

昨晩は、そのセリフが書かれたzineを持ってきた人がいたので、自分と同じくあの金屏風のシーンを挙げた女性に、朗読してもらったんです。それがまた、いい。

そして今朝の自主朝ドラは期せずして(本当に!)その金屏風の回でした。まぁビックリ。

改めて観ていると、あの演説までの「タメ」がすごい。あんなに苦労して、働きながら死ぬ気で勉強し、友人達と悲しい別れを経験し、口述試験当日はなんと生理になって、帰ってきて悔し泣き。耐えに耐えてやっと勝ち取った景色は、思っていたものと、全然違っていました…(尾野真千子)。今回を最後に諦める優三。落ちたよねの来訪。彼女が試験で言われた侮蔑的な言葉。よねからの最後の「おめでとう」。それらをタメにタメて、浜辺を思い出しながらの、あの祝賀会。あの言葉。あの口調。
最高のシーンです。

自分はお兄さん(直道)の死は予想外に、ことのほか堪えた話、戦争がイヤだと本心から実感できる凄さとか、そういう話ができたのも嬉しかった。

もちろん名シーンのことはあれもこれも話したのだけど、人数が少なくなった後に、寅子の大学進学について相談する3者面談での女教師のことを話してくれた人がいて。寅とお父さんが帰った後、あの先生が教室で一人、ただ立っているシーンが差し込まれていたのが、再見時に自分も印象的だった。彼女はあの時代で女性教師になることのバックボーンについて思いを至らせていて。こういう話ができるの、いい。

そうなの、思ったことは話した方が、いい!(直道)というのがやっぱりドラマを通じての1つのテーマのように思っていて。これって『スキップとローファー』も同じだよな。
自分が感動するエンタメの共通点なのか。

また曜日や時間を変えて開催したいのですが、1か月少しは長女の受験で動けなくなりそう。その後でも、話したい、参加したいという人がいればぜひお声掛けください。とらつばだけじゃない色んな話が、これをきっかけにできると思う。

昨日もやっぱり、昭和男の内面化(おれ)、選挙、仕事での話などが、参加した皆さんの立場それぞれから聴けたし、そういう話が聞ける機会ってだけで嬉し過ぎる。

大画面で、一緒に観る虎に翼はまた格別。
最初に開催を推してくれた発起人ruth_blackett_をはじめ、参加してくれた皆さん、ありがとうございます〜!!

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写真はまったく撮っていなくて、この1枚は最後に連絡先を交換しているところ。
今回はIryさんのオードブルとKiyoワインのシュワッとしたやつ、弥彦ビールなどをいただいてました。美味しかった…

NHK『宙わたる教室』3話で号泣

『宙わたる教室』3話。号泣回。

どうしても教室に入れなくて保健室の常連になっている佳純(伊東蒼)。
保健室の先生以外誰も見ていない「来室ノート」に、保健室のことを「ハブ」日付のことを「ソル」外に出ることを「EVA」とか、
『火星の人』のワトニーになぞらえて書いていることに気付き、おれぁもう泣いてる。

このドラマ、1話の冒頭を少し見ただけで「あ、これいつものすごいNHKドラマだ」とすぐに分かる奴。撮影・照明・グレーディングなどのルックも、静かな演出も劇伴もすごくいい。

主演の窪田正孝、同僚の田中哲司は最高の演技だが、他はちょっと……(個人的見解)というところを演出のセンスで上手く見せている。

そして3話はいよいよ名優:#伊東蒼 の登場だ。NHKではおかえりモネ、ユーミンストーリーズなど不思議な存在感で記憶に残る彼女。

(自分は密かに「蒔田彩珠枠」と呼んでいる子役からの名優、白鳥玉季、伊東蒼、毎田暖乃、このあたりの層、今とっても厚くて、アツい!)


3話は最後まで「火星」がテーマ。3か月寿命想定で作られた探査機オポチュニティーが15年活躍したこと。その最期のエピソードをひいて「孤独のように見えてそうではなかった」と藤竹先生(窪田)が語るシーンがあまりに良すぎて(ノД`)・゜・。

細かく言えばいろいろあるけども、これは必ず最後まで追っかけると思う。というか今調べて知ったけど、これ実話ベースなんだ。え?最後そうなるんだ!うわー楽しみ。

ところで窪田正孝の前髪に隠れた三白眼、すごいよね。

『虎に翼』が終わった。大感謝。

NHK朝ドラ『虎に翼』が9月末に終わった。

この半年、本当に楽しかった。これまで何度も書いているけど、NHK朝ドラの出来というのは日本全体のメンタル景気を左右すると思ってる。それ位大切なコンテンツ。おかげさまで幾度ゴミのような気分の朝に救われてきたことか。

とてつもなく多くの人に、それも老若男女・主義主張関係無く、問答無用でまずは観てもらえるという超・特殊なTVドラマ枠、「連続テレビ小説」通称朝ドラ。

だからこそ少し変な風潮や常識やタブーがまかり通り、一見制約だらけのように見えた、その枠に。

ジェンダー問題・法律問題をはじめあらゆる社会問題をブッ込み、エンタメとして成立させ、どころかすべての登場人物が愛おしく、心から愛せる物語を書き上げた脚本家・吉田恵里香。その脚本を至上の映像に創り上げた製作陣、期待に応えきった俳優達に、心からのリスペクトと感謝を捧げます。ありがとうございました。

直近では『らんまん』が大好きで、かなりインスタでも感想を上げていたのだけど、とらつばはもう毎日が見どころ満載で、とても画像付きのインスタでは追いつかずThreadsでしか書けなかった。

今週末には「とらつばナイト」がいよいよ開催なのだが、そのために全エピソードダイジェスト(各話一言紹介)を見直していると、1話に対していくつも話したいポイントがあって、とても追いつかない。まず時間内では皆さん話しきれないんだろうなーと思う。
そうなったらまたお茶会でもなんでもやろうよ。いつまでだって話して、いい!

さて面白い朝ドラが放映されるとおよそ「歴代朝ドラベストはなに?」的な話題が盛り上がるのだけど、自分は『虎に翼』が自分内ランキングのどこにも収まらないと思ってる。それ位異質だよね。もしとらつばで初めて朝ドラに触れた人がいたらお伝えしたいけど「こんな朝ドラは金輪際なかった」のです。これからも、期待するのは厳しいように思う。

ちなみにとらつば以外の自分ランキング

1)カーネーション、あまちゃん、おかえりモネ
2)ひよっこ、あさが来た、スカーレット
3)おちょやん、べっぴんさん、らんまん

そもそも朝ドラを観るようになったのは『カーネーション』がきっかけ。それから今までは全部の朝ドラを、最低2週間は見るようにしている。(という自分ルールを初めて破ったのが『おむすび』だった…)上に挙がっていない作品は多くが、どこかで離れてしまった。

NHKオンデマンドがはじまってからというもの、リアルタイム放映の朝ドラがNot for meな場合に、毎朝同じ時間からオンデマンドでお気に入りだった朝ドラを観直すという「自主朝ドラ」を始めた。これでメンタルの平穏をなんとか保っている。昨年は『おかえりモネ』『あまちゃん』を終えた。どちらの作品も、もう1度見直しても良い位傑作だと思う。

だから『虎に翼』が終わって、今ロス?かと言うとまったくそんなことなくて、今は自主朝ドラで絶賛放映中なのです。今日は直言の無罪が決まり、ヒャンちゃんのお兄ちゃんが連行された。今リアルタイムでめちゃ盛り上がってますすみません。

今回とらつばナイトに事情で参加できなかったとらつば好きの皆さんがいたら、いつでも付き合うのでお茶しましょう。
ではでは、週末。

iPhoneを8から15に換えた。

ついにiPhoneを新調した。現行品を買うのは初めてかも知れない。

8Plusの中古を2台経ての15Plus。購入価格で言えば差額は10万円以上。その価値はあるかと言ったら無い!ただもう調べたり考えたりするのが面倒だし、どうせ仕事でも必要だと割り切った。とにかく調べるのが苦手。面倒くさい〜
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映画『ルックバック』感想

『ルックバック』をTジョイ新潟万代で。監督:押山清高。1時間弱の中編。

原作はちょっとトラウマになる位だったが、映画の評判があまりに良いのでたまらず行ってみた。結果、原作よりかなり明るく、希望を持てる…というとアレだけど、やや前向きな気分で終われる作品になってた。

【あらすじ】小学4年生、学生新聞に4コマ漫画を連載し周りから褒められている藤野。ある時に隣クラスの不登校児・京本の画力に圧倒され、本気で絵の勉強をはじめる。将来コンビで漫画を描くことになる2人だったが…。

【感想】良く知られた衝撃の結末は、おいといても。冒頭からずっと、全編通して「手描きで動くアニメーション」のヨロコビに溢れている!その昔、金田伊功のアクションを見ていた時の楽しさを、少し思いだした。

手で描き続けることの大切さが根底にある原作をアニメ化するにあたって、アニメーターでもある押山監督は、従来の「多数のスタッフでキャラクターを統一するための線の均一化」をやめ、原画の描線をダイレクトに映像にしているそう(パンフより)。だから直しは紙の原画を直しているそうだ(ジブリ『熱風』監督インタビューより)原画マンによってテイストが変わっても仕方ない。それだけ手描きを大切にしたいと。しかも監督は自ら半数近くカットで原画を担当しているというのだから…!FIRST SLAMDUNKと井上先生のあの入れ込みようを思い出すエピソード。

カット毎に結構驚きの工夫(というか手描きならではの衝撃)があって、まぁこれで2時間やるのはキツいだろーな、と思う。そこまで延ばす必要も全然無いし。しかし何故か統一入場金額1700円がナイト上映にも適用されてて、これはちょっと?だった。パンフレットも、上記のさまざまが書かれている藤本タツキ×監督対談は読み応えあるが、全体として1500円の手応えは…なかった。

haruka nakamuraなのにハリウッド映画なみに押しの強い劇伴。原作ファンには賛否分かれるかも。

原作を補填する数々のナチュラルなエピソードと、この劇伴効果で、漫画よりもずっとエモい仕上がりになっている。自分にとって原作はちょっとトラウマチックで、あまり読み返せない作品なのだけど。映画の印象は違う。原作よりかなり希望に溢れた印象だ。

とにかく作画がすごいです。この画を観るだけでも映画館に行く価値アリアリ!

2024年の花粉症

2022年に書いた↓これと、ほぼ同じ感じでした。これで3年位は「花粉症は1週間程度」な年が続いている。
いよいよ、終わったのかな。

5月GWの最後に「おお!来たぞ!」て日があったけど、その後は1週間に数日鼻が出るくらい。薬を飲んだのは通算で2回程度。

そしてそのまま、気付かないうちにシーズンは終わった。

2021年もほとんどなかったみたい。

別にCOVID-19のマスクがそれほど影響しているとは思わない。リモートワークで一人だから会社でも、元々外でも付けていない。

ブタクサ、イネ科花粉症は収まってきているのか?それとも自分の体質変化?

アトロクで「『インティマシー・コーディネーター』って今どうなってますか?特集

after6junction の「『インティマシー・コーディネーター』って今どうなってますか?特集2024」。

宇多丸さんがあの『不適切にもほどがある』4話について、ちゃんと、明確に怒ってくれていて、嬉しかった。

さらにゲストの西山ももこさんに言わせれば

「インティマシー・コーディネーターという名前以外、内容は1つも合っていない」
「雑」
「せめて取材して欲しい。というかこの番組にIC付けるべきでしょう」

だよね…。

さすが!と思ったのは、『ふてほど』は同じTBS系列の番組にも関わらず「これが間違っている(まぁ全部な訳だけど、特に許せない)ポイント」をちゃんと羅列してたところ。いやーえらいぞー!

さらに、あの感動モノだった、高嶋政伸さんの『大奥』におけるIC関与の話にも、全然気付かなかったツッコミというか解説をしてくれて。なるほどなーと。

曰く
「ICはインティマシー・シーンの専門家であって、現場全体の安全性を確保する仕事では決してない。ICを入れたから制作現場の信頼が全部担保できる訳ではなく、暴力には暴力の、メンタルケアにはその専門家を入れるべきである」
といった意味のことを話されていました。

適切なつっこみ、ありがとうございました。

韓ドラ『シグナル(2016)』再配信

マイ・ベスト韓ドラのゆるぎないTOP3のうち『シグナル』(2016)がNetflixで再配信されたので(観れない期間が長かった…!)Oh!と思い見始めたが最後、もう夜中3時まで止まらなくて困った。

自分が韓ドラへ本格的にハマるきっかけになった作品でもあるのだが、未だこれを超える作品に出会ってないように思う。これと『マイ・ディア・ミスター』『秘密の森』はちょっと特別すぎる。

マイ・ディア・ミスターはじめ、最初の1〜2話はどうにも辛いがそれを超えれば途端に面白い、という韓ドラ、結構多くないだろうか。

しかしこの『シグナル』は、初見時の感想が「第一話だけでめちゃ出来のいい映画観てるみたい」だったし、おそらく3回目に観る今回も、その印象は同じだった。

1〜2話のいきなりの完成度。そして何と言うことだろう、主題となる「過去とつながる無線機」という設定は、未だこの1〜2話ではほとんど分からないままなのだ。それなのに、この面白さ。

辛い。シリーズ通して、基本殺人事件ネタで、辛いことばかり。自分向きではないドラマだ。でも脚本とキャラが魅力的過ぎてやめられない。

数年ぶりに観て、今の自分はどう思うんだろう…と少々心配だったりしたのだけど。
結果は、ここ1年以上経験していなかった、まさかの止められずで深夜3時。

ああ今晩も観ちゃうのかな。

初見時感想↓↓

韓国ドラマ『シグナル』が最高過ぎたという感想

NHKドラマ『舟を編む』

NHKドラマ『舟を編む』
本放映は先日終わったばかりで、NHKオンデマンドで後追い視聴。

本当に好きになっちゃって、終わってしまうのが寂しすぎて、勿体なくて進められない。

三浦しをんの原作を、松田龍平と宮崎あおい主演で映画化したのは2013年。傑作だった。

今年のNHKドラマ版は、舞台を2020年直前まで移し、時代に合わせ設定をもろもろアップデート。野田洋次郎×池田エライザ主演で10話構成に。

評判がかなり良かったのだが、まさかあの映画を超えることはないでしょう…と半信半疑で見始めたのだけど…。

まーやられました。今6話。毎回泣いています。時に号泣。

柴田恭兵のせいもあるのだけど、このドラマのつくりや感動の質は、どこか『空飛ぶ広報室』に似ているように思う。脚本も監督も違う人ですが。

愛の溢れる業界モノ。いかにも「取材して書きました」的な描写ではない、血肉の通った、原作の芯を理解しているからこその、映像アレンジ。レベルの高い監修。エピソードへの無理のない採り入れ方。

地味で専門性の高い仕事場に、何も知らない新人(美人)が入り込んできて、業界の魅力に嵌まり、一緒に悩み成長していく。それを見守り時に訓示を下されるのが柴田恭平笑。

もちろんどこにでも良くあるシチュエーションなんだけど、これをちゃんとできる脚本って多分相当難しいと思う。まず業界の魅力に嵌まる美人主役の、性格的な説得力が必須なんだけど、これが相当ムズい。おっちょこちょいで思慮が浅くて、でも愛される…みたいなパターン、多い。
本作での池田エライザさんの説得力は、本人の演技はもちろんだけど、使っている小道具、手描き文字、付箋など美術さんの力、本を扱う描写、細かいエピソードの積み重ねによるものなんだろう。「あ、こういう人いる」感がちゃんとあるのね。

池田エライザさん、今まで詳しく知らなかったけどカメラマンもやったり映画監督もやってたり、俳優だけじゃない積極的な方なんだ。今このドラマのおかげでめっちゃ好きになってる。

そして野田洋次郎。このキャストは大きい!言葉を扱うプロの人だからの、滲み出る説得力なのか。辞書編集部の脇を固める面々のバディ感も最高。肉まん君の活躍も嬉しい!

観たい・でも終わって欲しくないのジレンマ。

しかし今年は、映画もドラマもしょっぱなから傑作がどんどん出て来て、近年稀に見るすごい年になりそうね。

もちろん『虎に翼』も最高な!まだ3週間しか経ってないのにクライマックス続きで、ちょっとあり得ない充実度。OP、毎朝見ているのに見るたびにぐっときてます。

金曜の、あのシリアス展開の中で「おそいよおにーちゃん!」てゆう叫びに爆笑した。

映画『雪山の絆』感想

Netflix映画『雪山の絆』を自宅鑑賞
監督・脚本・製作はスペインのJ.A.バヨナ。実話ベース。

【あらすじ】
1972年、ラグビー選手団を乗せてチリに向かったチャーター機、ウルグアイ空軍機571便は、アンデス山脈中心部の氷河に墜落するという大惨事に見舞われました。乗客45名のうち生き残ったのは16名のみ。世界で最も過酷な環境のひとつに身を置くことになった生存者たちは、生き延びるために究極の手段を取らざるを得ないことに…。(公式ページより)

【感想】
通常のディザスターものと違うのは、主人公たちが「ラグビー選手チーム」ということだろう。生き延びる力がきっと、一般人より強い。意図的なのかどうか、全編通して自分が生きるために小ずるく立ち回る人が出てこない。そういう意味での辛さやストレスはゼロ。(そんな映画ある?)

そこだけで言えばとても自分向きなのだけど、いやいや、降りかかる現実はこのタフな人達を、これでもか、これでもかと襲い続ける。あまりの壮絶さにもう声が出なくなる。描写がとんでもなくリアルで、観ている間「これどうやって撮ったんだろう…」という疑問が全然湧かなかった位。ドキュメンタリーとして観ている気分。でもこのチャーター機には選手達の家族も乗っていて、その中での子どもたちの描写はほぼない。乗っていなかったのか、意図的なものなのか(なんにしてもそれは無理!)

あまりに辛すぎて「ああこれは無理だ…」となったので、先に最後を観て、安心してから戻って再開した位だ笑。それ位、自分にとってはキツかった。

壮絶でリアル。アンデスの山中のシーンはその場にいるとしか思えず、映画館だったら凍えきっただろう。メイクも美術もすごい。

観終わった後に「これはメイキングを観ないとやってられない」と思ったら、Netflixにありました。
このメイキングがまたすごい。本編はあまりに辛すぎて泣くどころではない映画だったけど、メイキングで泣いた…。実際の当事者も何人か出演している。

かなり事実に寄せようとした作りらしく、キャストはほぼ全員が無名新人。オーディションの基準は「いかに本人に中身が近いか」だった。ちなみに皆ハンサムガイばっかりなんだよ。

過酷な山中ロケの実際。あの、悪夢に見そうな雪崩シーンが、どのように撮られたかも分かる。

監督J.A.バヨナがキャストスタッフを「良いモノを作る喜び」へと連れて行く、その手腕・人間力に感服する。
Netflixの財力なけりゃまー撮れない内容だけど、お金があるだけじゃとても無理、ってことも良く分かるメイキング。

本編とメイキング、セットで観るのがお薦めです。
(今年のアカデミーでは国際長編映画賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート)

2024/04/08

NHK朝ドラ『虎に翼』第一週

NHK朝ドラ『虎に翼』
しょっぱなから楽しませてもらっていたが
第5話(金曜日)でいきなりのクライマックス。

寅子の能力も努力もすべて認めながら、今の世ではどうしても幸せにはなれないんだ。と語る母。聞く寅子の顔だけを延々とFIXで映し続ける、大胆な演出。
そして伊藤沙莉という俳優が見事に応えきる。第一週からのこの信頼感。ついていける、と思う。

ただ反論するのではない、母子がお互いの気持ちをちゃんと理解しつつ、自分の考えを伝えようとする姿勢は、きっと今後の物語のベースを為していくのではないかな。

「お母さんみたいな生き方をしたくない」「お母さんみたいになりたくないってこと?私のことをそんな風に見ていたの?」というあちゃー!なやり取りから、
「私の母はとても優秀ですが……?」
でひっくり返す。

その後の母ゆりちゃん。出たー!!もう拍手喝采。

「女の可能性の芽を摘んできたのはどこの誰、男たちでしょう!?」
「自分にその責任はないと?それならそうやって無責任に、娘の可能性を潰さないでちょうだい。」

今の世でもそのまま通じるこのセリフに涙。芽を摘んできた一味の一人として、昭和、平成、令和と変われなかった男たちの一人として、痛烈に響くゆり母ちゃんの啖呵。ごめんなさい!

オープニングもすごくいい。クローズアップされる「目」が強烈な印象。

素晴らしい第一週の終わりだった。久しぶりに朝ドラのある生活が戻って来たかも!

NHK夜ドラ『ユーミンストーリーズ』が最高

NHK夜ドラ『ユーミンストーリーズ』全3回が、最高でした。

※すみません自分はユーミンを通っていない人なので、以下の感想でユーミンのことには触れていません。

各15分×4話にわたる、3週・3つの違うストーリー。
オンデマンドで一気観すると、短い映画を映画を観ているようなクオリティ。
脚本、配役、演出、撮影、劇伴、すべてがいい。

幅広い層に愛される松任谷由実の名曲からインスピレーションを得て、3人の小説家が生み出した3つの物語。ドラマ化をするために、映画、ドラマ、ミュージックビデオなどで活躍する3人の監督、3人の気鋭脚本家、豪華出演者たち、トップクリエイターが集結。それぞれの創造力が掛け合わされたストーリーは、郷愁の念を抱かせ、切ない気持ちへと誘い、一歩前に踏み出す勇気を与えます。
一日の終わりの15分、ユーミンの名曲に思いはせながらホッと一息つけるオムニバスドラマを3週に渡ってお届けします。(公式ページより)

2週『冬の終り』の主役:麻生久美子が演じるお母さん。ちょっと人づきあいが苦手で(でも嫌いな訳じゃない)要領も良い訳じゃなくて、人のことを考えてやったつもりなのに小さな失敗をして後悔してる姿が、本当にリアルで。また自分内素敵麻生演技が更新された。彼女が働くスーパー併設の飲食店、新潟で言うとみかづきやピーコックのようなお店の空気感が、めっちゃいいんだよな…。時折差し込まれる店内防犯カメラが写すカットが不思議な印象を残す。

そんな彼女を見守るスーパーのパート達、おばちゃんと女子高生のバディ感が気持ち良い。女子高生は伊東蒼。彼女はモネをはじめ、自分の観るドラマではあちこちでチョイ役だけど存在感があって。今作も良かったなー。パート仲間でクリスタルケイがキャスティングされてるのも驚いた。あーもう一度観たい。

3週『春よ、来い』は短いのにちゃんと群像劇。生涯のうち一度だけ願いを叶えることができる(ただし身内には使えないとかいくつかの制約がある)という先代からの言い伝えをベースに、ドラマ内で3つのタイムラインが絡む。

宮﨑あおいと岡山天音の仕事場での出会いは、少し『正欲』を思わせる内容。朝日を受ける宮崎の横顔のあまりの美しさに、自分でも怖いくらいに泣いてしまう。
池松壮亮と田中哲司の親子、池松のぼそっとした喋りがマジ天下一品で好き笑
女子高生の白鳥玉季と叔母の小野花梨、辛いけど…最後のホテルの朝で救われる。これもとんでもなく画と演技が美しい。

ユーミンはもちろん青葉市子の劇伴も見事。

全編通して、驚くほどのクオリティでした。
良かった〜!!

AmazomプライムやU-NEXTのNHKオンデマンドチャンネルで視聴可。

2024/04/01


第1週「青春のリグレット」(15分×4話)
【原作】綿矢りさ
【脚本】岨手由貴子
【音楽】青葉市子
【出演】夏帆、金子大地、片桐はいり、中島歩 ほか 
【語り】ジェーン・スー 
【演出】菊地健雄
<あらすじ>
結婚して4年で夫に浮気され、夫婦関係が破綻しかけている菓子(かこ) [夏帆]。まだやり直せる。そう考えた菓子は夫の浩介[中島歩]を旅行に誘うが、その旅先で、昔ある人に言われた言葉が実は重要な意味を持っていたことに気づき・・・。青春時代の記憶が後悔となって呼び起こされる、ほろ苦い恋の物語。


第2週「冬の終り」(15分×4話)
【原作】柚木麻子
【脚本】ねじめ彩木
【音楽】青葉市子
【出演】麻生久美子、篠原ゆき子、伊東蒼、クリスタル ケイ、浅田美代子 ほか
【声の出演】黒木華 ほか 
【演出】箱田優子
<あらすじ>
スーパーでパートとして働く藤田朋己[麻生久美子]は、新しく入ったパートの仙川真帆[篠原ゆき子]と全く会話が続かず気まずい思いを募らせる。しかし有線である曲が流れた時、初めて変化が訪れた。もう一度、少しだけ日常に変化を。一人の思いをくみ取ったパート仲間によって、ちょっとした大ごとに発展してしまう友情の物語。


第3週「春よ、来い」(15分×4話) 3月18日(月)~21日(木) 夜10時45分
【原作】川上弘美
【脚本】澤井香織
【音楽】青葉市子
【出演】宮﨑あおい、池松壮亮、白鳥玉季、小野花梨、岡山天音、田中哲司 ほか 
【演出】奥山大史
<あらすじ>
一族が持つ“あれ”の力を授かったカナコ[宮﨑あおい]。誰のために使ったら良いのか。亡くなった母は誰のために使ったのか。疑問の答えを求めてたどり着いた先に、同じ“あれ”の力を授かった雄大[池松壮亮]、生きることをつらく感じる中学生の多英[白鳥玉季]が見えない糸で導かれ・・・。誰かを思う気持ちが春を連れてくるあたたかな物語。

Netflixドラマ『三体』S1完走

Netflix『三体』season1、解説回含め完走。

原作は最終巻の真ん中まで既読。
製作:デイヴィッド・ベニオフ、D・B・ワイス、アレクサンダー・ウー(ゲーム・オブ・スローンズ)

原作は3部作のうち2部の黒暗森林くらいまでは結構ノリノリで読んでいたものの、3部に入ってスピード激減、ついに最終刊の途中で止まってしまったまま。1部を読み始めたのはもうずっと何年も前で、正直骨子以外はうろ覚えもいいところ。

このNetflix版は、そんなうろ覚えの自分でも分かる位に、キャストも構成も大幅にアレンジされている。どこがどう変わってなどを語れる記憶は全然ないが、ドラマの方がずっと理解しやすくなってるように思う。
その分、原作の重厚感は…マイナスされている印象だが、これは善し悪しかも。

小説のあの凄みが
映像になって更にパワーアップ…!
という程ではなかった。少なくともシーズン1は。

じゃあ原作未読だったらどうだったか、と言えば
これは文句なしにお薦めできるSFドラマだと思う。

(正直、三体原作があまりに並外れてるので、それと比較してしまうと、このドラマが一般的な連続ドラマと比べてどうなのか、もう客観的には分からないのです…)

とんでもないスケールの原作と、スタッフのラインナップのせいで、異様にハードルを高めて観てしまったせいだと思うので、未読のSF好きはぜひぜひ。

※「あの8年間」ずっと

DAVID BENIOFF
&
D.B.WEISS

というクレジットを、
衝撃の余韻と共に見続けた
『ゲーム・オブ・スローンズ』ファンなら
この期待感は分かってもらえるだろう。この文字が出ただけでアドレナリンが…笑

期待以上!ということでは、なかったけど、これだけの映像化が現実となってリアルタイムで観られる今の環境には感謝しかない。続くシーズンに大期待。

【以下ちょっとネタバレあり】
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GOTからはサム、ダヴォス、ハイ・スパロー、あとちょい役でヴァリスなど、お馴染みのメンバーが活躍していて、それだけでもなんだか懐かしくて嬉しい。というかGOTのイメージが邪魔して、しばらくはウェイド(ダヴォス=リーアム・カニンガム)がどうしても良い人に見えて人格が定着せず困った。

特にハイ・スパロー(ジョナサン・プライス)が三体同盟の幹部を演じているのがめちゃくちゃハマっていて、あの、マイロードとの音声のやり取り(人類は嘘をつく)は名シーンだったな…。

Dr.ストレンジのウォン。彼が喋ってるだけで場が持つとはメイキングで誰かが話していたけど、すごい安心感あるわ…。

原作を読んでいる最中でさえキャラクターを覚えるのが大変だったのに、Netflix版ではキャラが分裂したり?人種が変わっていたりして、その変更を追うことはほぼできず、新キャラ気分で観ています。

原作を覚えていないと言えば、あの船丸ごとスライスシーン。
少なくともドラマの流れで言えば、三体との会話データを奪うのが目的だよね?「同盟会員を全員殲滅せよ!」なんて言ってないよね?聞き逃しちゃったのかな。
データ奪取が目的なのに、あんなにスライスしちゃったら大事なデータが真っ二つになりかねないじゃん。つか探すのがかえって大変にならない?
というような脳内ツッコミが邪魔をして、せっかくの最大クライマックスシーンを楽しみきれなかったよ…。VFXは大迫力で文句なしに凄かった。

脳を送られる人って、原作だと三体に捕捉されて、あとでバカ長い寓話を送ってきた筈。
コースアウトしてどうなるんだろう。ドラマ版は他の場所に行っちゃうとか…?

原作の記憶は曖昧だし大幅な改変は予測つかないしで、良い意味で先が見えずドキドキです笑

今Huluで配信している中国テンセント版は…以前観て2話くらいでやめちゃった。こちらはかなり原作に忠実らしいけど、冒頭の文革シーンもないし、絵的に映えない。自分には観るモチベーションが湧かなかった。堪え性もないのだ。

season2も期待してます!

※細かい話だけど、WEBメディアでの紹介が皆
Netflix『三体』<全8話>
て紹介していて、いやー<全8話>は絶対に無理だし、原作知らない人にとってこの表現はある意味詐欺にも近い。
でも公式が「season1」て入れないと、皆出せないんだよなきっと。難しいね。

映画『オッペンハイマー』感想

『オッペンハイマー』をイオンシネマ新潟南IMAXで。
初日はさすがに混んでた。両隣に人が居るなんて久しぶり。
監督はクリストファー・ノーラン(『インターステラー』『ダンケルク』『TENET』)

文句無し大傑作。ノーラン裏切らない。

そしてIMAX・フィルム・SFX抜きにこだわり続けるノーラン作品を初めてIMAXで鑑賞できた感動!
(今作ではわざわざMAX用モノクロフィルムを開発してる入れ込みよう)

今年春の目標
「DUNE2とオッペンハイマーをIMAXで観る」
が達成できたので、もう言うことないです。

【あらすじ】
第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。これに参加した J・ロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。
しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。冷戦、赤狩り―激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆくのだった―。(Filmarks)

【感想】
原爆を開発したオッペンハイマー氏が主役。内容に差し障りがあるのか?日本公開が半年以上遅れた。というか当初は日本公開自体が危ぶまれていた。オスカー獲ったのでやっと許される状況になったようだ。

この経緯について、観た人は恐らく誰もが「おかしいだろ」と思うでしょう。

確かに、広島長崎をさんざん見聞きしている身としては、途中まではどうしたって気分が悪い。そもそも日本に対して作られたものじゃないのに「せっかく出来たのだから」的な流れで対日本で使われることになり、投下地を会議で決めるくだりなど、吐き気がする。

だけどそれ以上にオッピーの苦悩がフィルムに文字通り焼き付けられていることが分かってくるので、最終的には「技術は開発したら善悪関係無しに使われてしまう。開発者にそれを止めることはできない」というメッセージ(他にいくつもあるけど)がたたき込まれるつくりだ。こういう映画こそ日本で観られるべきだろう。
ってこれ、今まさにAIで進んでることじゃんね?

上映時間180分。長い。どうしたって「長いなぁ」とは思うけど、退屈は全然しない。後半法廷劇のクライマックスが訪れるし、奥さんの証言シーンは、ここ数年経験した覚えがないほどのカタルシスで本当にぞくぞくと鳥肌が立った。原爆と使用を巡る云々と同時に「赤狩り」が思っていたよりずっと重要なシークエンスになってる。

IMAXは新潟ではそもそも音響が断トツなのでもちろんイチオシだけれど、他の映画ほどには必須感はないかも。縦長のレイアウトがあんまりないし横長になってもなんとかなりそう。

観ている間(ああここでインターステラーを、TENETを、ダンケルクを観てみたい〜)の思いがチラついていた。あとドゥニのブレードランナーとか。

原爆を開発するために人里離れた場所に村をまるごと作っちゃう成り行きは、どこか映画造りに似ていて既視感がある。だけどその「アメリカたる」既視感と、目的が原爆であることを思うたび、胃がぐるっとしてしまうのだ。

アインシュタイン最高。
クズキャラのロバートダウニーJr.。体型とか姿勢とか立ち居振る舞い含めて、まー凄い。圧倒された。今後も楽しみ。
ゲイリー・オールドマンって全然分からなかった…クレジット見て「え?」てなったよ

【観る前の「予習」について】
色々考え方はあるだろうけど、自分は鑑賞中に余計な「?」がアタマの中で続かずに中身に集中できたので、ある程度「この映画のつくり」を予習してから観たのが良かったと思っている。YouTubeを漁ると山ほど出てくる。

こんだけ知っておくといいと思うよ。
●オッペンハイマーとストローズがそれぞれどういう人かの概略
●映画はこの二人の公聴会が並行して進む。それぞれの公聴会が開かれた理由と、オッペンハイマーのタイムラインがカラー、ストローズのタイムラインがモノクロであること、カラーの方が1954年スタート、モノクロの方が1959で少し新しいこと、位で充分。

相変わらず説明が全然ない。年号さえも出ない!アタマの悪い自分は、予習無しで観ていたら、それはそれで得がたい映画体験にはなったと思うけど、始終アタマの中に疑問符ばかりで、もう一回観ないと全然分からなかっただろうな…。そうそう、2回観る余裕のある人は全然予習無しで良いのかも。

ちなみにNetflix『三体』のメイキングでは、オッペンハイマーの愛人に関わる、とあるエピソードが紹介される。ちょうどオッペンハイマー観た後だったので爆笑してしまった。

スレッズの仕組みがどうなってるのか知らないけど、最近オッペンハイマーの感想ばかり流れてきていい加減ちょっとうんざりしてきた。まったく気持ちの合わない人の感想って、時に疲れたりするよね…。だから、ちょっと書くのが遅くなっちゃいました。

何度も書きますが、傑作です。

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