映画『ハナ 奇跡の46日間』感想

『ハナ 奇跡の46日間』をNetflixで。
監督:ムン・ヒョンソン、2012年作品

1991年、千葉で開催された卓球の世界選手権で、南北朝鮮が史上初の統一チームで参加した実話を映画化。出演は、ハ・ジウォン、 ペ・ドゥナ他。

今読んでる伊東順子『韓国カルチャー 隣人の素顔と現在(集英社新書)』で、北朝鮮のトップ選手を大好きなペ・ドゥナが演じているというのを読んだのが観るきっかけだったけど、思わぬ傑作だった。後半は涙涙。

南北チームが結成されて日本で合宿する様子と、大会が終わるまでの短い期間を2時間で描いている。最初はちょっとそれどうなん、ていう展開も節々に見えながら、後半の試合展開は本当に胸アツ。

長い試合シーンを飽きず見せる撮影と編集が見事。今まで観たいくつかの卓球映画でも、こんなにリアリティを感じさせる作品はなかった。卓球やっている人が見たらどうか分からないけど、しらけないの、ホントに。で、やっぱり演技が…皆凄すぎる。脇役に至るまで選手達みな好きになる。
『恋愛体質』のチョン・ウヒがハ・ジウォンの妹役で少し出てるのも嬉しい。

最初から北男子リーダーにぞっこんなチェ・ユニョン演じる韓国女子選手。コメディリリーフなのかと思いきやクライマックスで初の試合シーンになると…これが急にめちゃくちゃカッコ良くて痺れたり、とか。試合シーン、素晴らしい。これは映画館で観たいな〜。

関係者皆が「きっとここだけ、今だけの『統一』なんだろう」と思いながら、でもどこか希望を捨てきれずその刹那に想いを向ける様がもう泣けて泣けて。昨今の情勢がイヤでも思い出されると一層、堪らなかった。

最後の方で「お姉さん」「お兄さん」て言うあの意味も、『韓国カルチャー』を読んでいたおかげで南北の違いが良く分かったりして、より胸に迫る。

この統一チームKOREAが実現できたのは、当時の国際卓球連盟会長だった荻村伊智朗が数10回北朝鮮と韓国に訪れ説得したおかげらしい。あと合宿は3箇所でやってて、その2箇所目は新潟県長岡だったそう。最後が会場の千葉。

映画の舞台はすべて日本だけど、全編通じて「日本」の描写はほぼ皆無。その方がスッキリして映画として正解だと思う。あと日本公開当時の宣伝ビジュアルも、まったく琴線に触れず笑ってしまった。(2枚目)

結論:ペ・ドゥナはやっぱり凄い。

『ドクターフー S3-10話(3-11)BLINK〜まばたきするな〜』感想


after6junctionのドクターフー特集でイラストレーターのQUESTION No.6さん(Whoが好き過ぎて渡英、ついに公式の仕事をゲットした人)がオススメしていた
season3-11(話数だと多分10)の「BLINK (邦題:まばたきするな)」が、
もう素晴らしく良かった。

Amazonプライムで観れます。ドクターフー観るのは、これで10話目くらい。

番外編的な構成で、シリーズをひっぱるドクターとコンパニオンの登場は非常に少ない。最初に観るドクターフーとしても良さそう。単発でこれだけ観るんでもオススメ。Wikiなどを読むとこの話がシリーズ最高と評する向きも多いらしい。

タイムスリップドラマのあのぞくぞく感を短い時間の中にぎゅっとさらっと詰め込んで、バディ感もオタ万歳感もドキドキスリラー感も味わえて。そして主役の若きキャリー・マリガンがとんでもなく可愛い。良かった!!脚本は後に『SHERLOCK』も手掛けるスティーヴン・モファット。



こないだZoomで「名作と言われる回から(つまみ食い的に)観るのもいいよ〜」と教えてもらったんで、そうか、シーズン気にしないでまず導入って手もあるか、と気付き次の名作回を探す所存。

メンタル最底辺で、年アタマから色々映画を(自宅で)観ているけどいつもどこか素で楽しめないような気持ちの中、ラブコメだったりドクターフーだったり『恋愛体質』で皆が肉食ってるところだったり、で
急に、その時だけいつもの気持ちで底から楽しめていることに気付く。
何に助けられるかって、ホント分からない。

ドラマ『ミステリと言う勿れ』はじまる

『ミステリと言う勿れ』TVドラマ版第一話。圧倒のクオリティ!

ほぼ警察内から場所が動かず(超低予算)セリフばかりなのに、何だコレ凄すぎ。

菅田君発表時からきっと彼はやるぜと思ってたけど、期待以上だった。信じてたよ。池本、風呂光も最高。

惜しむらくは、エンケンさんに青砥をやって欲しかったな…『王様のレストラン』を観ている最中の自分にとっては、青砥さんは筒井君よりエンケンだった。今最新巻は青砥さんが主役なのだよ。

何と言うことでしょう晩ご飯がカレーの時にちょうど観ることができたのも最高。

菅田!菅田!これは2022年初っぱなから歴史を刻むドラマ登場だ。

観終わった後家族全員が皆久能口調になっているのも傑作の証しだな。

映画『ブルーバイユー』感想

『ブルーバイユー』をAmazonプライムで。
監督・脚本・主演はジャスティン・チョン

3歳の時に米国へ養子入りした韓国生まれのアントニオ。愛する妻と娘と一緒に幸せに暮らしていたが、警官とのトラブルで身柄を拘束され、その際に判明した30年前の書類の不備により、韓国へ強制送還の命令が下りる。70〜80年代にアメリカで養子入りした移民達には同じように強制送還される例が後を絶たないそうだ。
裁判で争うか韓国に行くかの選択を迫られるアントニオは、裁判費用を稼ぐために昔の仲間に相談し、それがきっかけで夫婦の仲にも亀裂が生じていく。

親子が引き離される予感にどうしても観るのを躊躇っていたけど、ベイビーブローカーの勢いでやっと観ることができた。
大傑作。最後のシーンのおかげで、ずっと愛する作品になると思う。

監督脚本もやっている主演のジャスティン・チョンの空気感が良かった。
家族を愛し真面目に働いているアントニオが、移民に対する不条理な仕組みのせいで、致し方なく裏の道に手を出し、その結果…。
という、まさにどうしようもなく、不条理で、でもきっと界隈では巷に溢れている物語を、こうやって至上のエンタメとして世に出してくれることに、感謝します。

この後に観た『マイスモールランド』にも、ベイビーブローカーにもすべて通じるところがあって。

不条理な世の中で生きる愛おしい彼ら彼女らの1人1人の物語を感じることで、ニュースで良く見る「大きな社会の問題点」ではなく、本当に、なんとかしないといけない身近で大切な問題だと感じることができるから。

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妻の歌う「ブルーバイユー」の歌詞が切ない。
クライマックスは、「ぶほっ」というイキオイで号泣した。
辛いイジメのシーンがあるけども、後である程度スッキリさせてくれるから、俺のようなイジメが苦手な人でも大丈夫。

エンドクレジットには、同じように強制送還された・される予定の実在の人物の写真が流れる。
ひと昔の話ではなく、本当に今でも続いている最近の話だということに驚いた。

映画『アメリカン・ユートピア』感想

2022年最初の1本は『アメリカン・ユートピア』。

Amazonレンタル。監督はスパイク・リー。

トーキングヘッズは殆ど聴いてこなかったし最後の1曲位しか知らなかったけど、しょっぱなから最後までノリノリで楽しめた。舞台のショウをそのままドキュメンタリーにしたような作品。

内容は聞いていたので「これは映画館で観たいな〜」と思いつつ逃していたことを悔やんでいたら…
いやいや。この作品は、お酒を吞んで踊りながら、好きなように声を上げてウチで観るのも良いよ!

歌詞を見ながら最後には色んな世界に連れていかれて、涙して。どんどん高揚感が高まっていく。

この作品ではまずあり得ないことだけど、訳詞字幕が入るって本当に重要。最近お金の関係で「なんでここで訳詞字幕入らないの!」てなる映画が本当に多いから、改めて思う。

新年にぴったりの1本だった。

映画『ドント・ルック・アップ』感想

2021年最後に観た映画はNetflixオリジナル『ドント・ルック・アップ』。
監督は『バイス』などのアダム・マッケイ。

地球を崩壊させる巨大彗星が半年後に衝突することを発見した二人の天文学者が、その危険性を大統領やマスコミに訴えるが…

アルマゲドン系SFかと思いきや、全編ギャグタッチな政治風刺ドラマ。出てくるキャストは「超」豪華。『バイス』のトーンを更に強烈にしたよう。

「笑える」筈の皮肉ギャグが、今やすべて現実に起こりうることなので、ギャグなのに笑えないという切ないことになってる。風刺の目線は体制側だけでなく、危険を訴える学者側にも対等に向けられている。

出てくるキャストは全員、皆どこか間抜けに見える。専門家が何を言おうが、自分達の信じる道以外は目を向けようとしない。逆も然り。これら全部、特に日本では今普通に起こりえることなので…やっぱり笑えない。苦笑い。

イライラが多いので自分的には総じて「大好き!」とはならないけど、絶対観ておくべき映画だと思います。お見事。とにかくテンポがいい。

キャストも使い方も本当に贅沢。ディカプリオ(最高)、ジェニファー・ローレンス、マーク・ライアンス(最高)、ケイト姉様、メリル・ストリープ、ジョナ・ヒルなどなどが、皆間抜け人間を演じている。

こんな映画を生み出せることが、とても豊かで羨ましい。あ、シャラメだけはちょっと違う。この映画のシャラメみたいな人も、周りには居て「分かるわ〜」ってなる。

2021年に観た映画ベスト

「2021年に観た映画・ドラマ」のベスト。全部の作品の感想は当ブログで投稿しています。

「▶」は劇場鑑賞
( )内は旧作の公開年(不確か)

今年劇場で観た映画は多分13本で、昨年に比べ相変わらず少ない。加えて今年は家で観た本数も30本で、例年の半分以下と激減。秋以降は一時期映像作品をまったく観る気になれず本にばかり没頭していた時期があった。

今年一番印象に残っているのは…やっぱり『DUNE』かなぁ。どうしてもSFには贔屓目だ。『ファーザー』は何度観ても良さそう。しかし思い返しても「これ激推し!」という作品はなかった。

反面ドラマは日韓充実していた。特に日本は大豆田やってた頃の凄さたるや。大豆田とコントが始まるは韓ドラに負けじと面白かったよ。地デジの意地を見ました。おかえりモネをやっていた期間、ずっと幸せだったなぁ。

すべて気持ちを持って行かれた感のある『マイ・ディア・ミスター』。これは『シグナル』と並ぶ自分内のドラマ生涯ベスト作。日本語サブタイトルもビジュアルも未見の人にはイマイチだと思うが、絶対にオススメ。
『秘密の森』にもハマりまくった。これで決定的にチャミスルが呑みたくなった。
韓ドラは途中まで観ているのが未だ4〜5本あります。

ということで、今年はもうちょっと劇場に行きたいなぁ。

映画『ラスト・クリスマス』感想

『ラスト・クリスマス』をNetflixで。2019年。

主役ケイト(エミリー・クラーク)のクソ女っぷりに最初は多少辟易してしまうけど(特に姉にやらかすアレ)実はこんな過去があって…と引き込まれ最後には分かりやすく号泣メーンです。舞台はロンドン。

相手役の大人気ヘンリー・ゴールディングとケイトの働くクリスマスショップのオーナーに配されたミシェル・ヨーは『クレイジー・リッチ』の親子でもあってファンとしては実に嬉しい。ケイトの母役エマ・トンプソンは今作の脚本家でもあるそう。

今まで観たエミリー・クラーク主演作はどれも彼女の顔芸を存分に活かしていると思うのだけど、ゲースロのデナはあの豊富な顔芸をあれだけ長い作品の中で1回たりとも見せていなかった訳で、逆にすげえなと思った。

もともとワムの同名曲がモチーフになって作られた映画だからジョージマイケルのあの曲やこの曲オンパレード。クリスマスにほっこりラブコメ観たい人ぜひ。

『おかえりモネ』終了。ありがとう。

この半年、朝のモネにどれだけ助けてもらったか。

見事な最終週。月曜から凄かった。

ドラマ全体の感想としては前に書いた内容と変わってないけど、付け加えるなら

●世代を継いでいく、次に繋いでいくそのやり方が見事だった

●「対話」の大切さを常に問うて実践していた

後者に関しては、最後の数週間とかはもう身につまされて少し辛い思いまでしちゃった人も多かったのではないか。いや俺なのですが。

「あなたの痛みは分からない。でも想像すること、寄り添うことはできる」

菅波先生にもりょーちんにも言わせているこの「想像と対話」は、世界を救うメソッドでもあるのだけど、一番身近な夫婦や家族や親しい友人との間でちゃんとできているだろうか。

ずっとこう言えることが最初の理想だったのに、今でもそう思っているのに、できていないことがなんと多いだろう。

『おかえりモネ』を見ながら、身の周りの人に「ごめんなさい。ゴメンね」を心の中で呟いていた最後の数週間だった。特に菅波先生は、その「世界を救うメソッド」を自ら体現している人で、制作者側の意図を大きく反映しているモデルだったのだろう。それを坂口が見事に、あまりにも見事に演じてみせて俺等は皆虜になってしまったのだ。

他にも親チームのベテラン演技の凄さとか(両親はもちろん浅野忠信の凄まじさ!)とか、コロナ禍に繋がる「もとに戻ることだけが、いいことだとは思えねえんだよ」てゆうメッセージとか、「最終回の「そんなに簡単じゃねぇだろ」とか、もう枚挙に暇がない脚本の素晴らしさ。

震災の後を描く朝ドラとして、安達奈緒子さんと演出陣がやり遂げたことに、ただただ拍手と感謝。
ありがとうございました!

こんな朝ドラが作れるんだ。また歴史が1つ積み重なった感。

映画『DUNE / 砂の惑星』感想

『DUNE / 砂の惑星』をユナイテッド・シネマで初日鑑賞。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。
だい・まん・ぞく。2.5時間の間ずっと異世界旅行。

圧倒的な映画体験。『メッセージ』『ブレードランナー2049』の衝撃がアップデートされた。

シャラメとレベッカ・ファーガソンをキャスティングした人を神と崇めたい。
この2人を大画面で2時間半も堪能できる幸せたるや。ルックスは勿論、とてつもない演技力あってこそだよなぁ。


あとハルコンネン男爵、色んな意味で最高。特に天井ひっつき。


菅波先生(坂口健太郎)はアゴのラインがすばらしいし唯一無二、と思っていたのだけど、これを世界レベルにしたのがシャラメだな。

映像はもとより、音、音、音、音のスゴさ。

ヨハン・ヨハンソンみも少しありながら、最後にはちょっと笑っちゃう位しつこく畳みかけてくるハンス・ジマーの劇伴。いい。好きだよ。

そして「ええーここで−」というところでブツっと終わる。早く!早く!続きを撮ってくれ〜〜!!!

後から敢えて言えば、だけど。ストーリー的には大きな起伏もないし進行はゆったりだし、正直SFファン以外にオススメできる作品ではないかも。

ナウシカにいかに影響与えたか良く分かる。今作にはナウシカからの逆輸入か?と思っちゃうようなシーンもチラホラ。

砂漠の砂の動きがCGじゃないと知って驚愕。砂漠の下に大きな「プラットフォーム」を仕込み、その下に「振動エンジン」を設置、さらにその下に大きな木製の羽根をつけることで思うような砂の動きを表現できた、とある(パンフより)。読んだだけではさっぱり分からないスケールの大きさだ。メイキング漁り楽しみ

出てくる大きな船などはほとんど縦長だし、もともとIMAX用(1.43:1)に設計された映画だということは聞いてるけども(つまり上下がかなりカットされてる)そんなこと言われても新潟県民にはどうしようもない。せめてユナイテッドの大きめスクリーン(1番は燃えよ剣にとられた…)か、音響の良い万代で観た方がいいと思う。

1年に1回このレベルのSFが観られれば、その年は上々だったぜ!と言える。
そういう作品。最高。

ドラマ『ヤンキー君と白杖ガール』2話まで

大好きマンガのドラマ化『ヤンキー君と白杖ガール』1〜2話を観た。

素晴らしい。
超原作リスペクトで大切な勘所を外さず、しかも実写化で魅力倍増。俺が原作者だったらきっと悶え死んでる。

杉咲花が主演って聞いた時点でああこれはハズレはないな、とは思っていたけど、まさかここまでとは。キャスティングも皆絶妙。森生君はもう完全に森生君。

「原作の設定をなぞるだけのしょーもないラブコメ」になる可能性満載だったと思うけど、まー丁寧だ。相当なところまで気を遣っている様子が伺える。当事者が観てどうかは分からないが、少なくとも原作ファンにとっては大満足の出来。ユキコの元カレのエピソード紹介は正直急ぎ足で雑だったけど、1-2話で気になったのはそこくらい。スタイリストさんも良い仕事してるな〜。

このキャストと脚本でこれからあの話もあの話もやるのかよ。って想像するだけで、号泣してます。あとキャストが皆ハマり過ぎて、演出もギャグのタイミングが絶妙で好み。とにかく見事。これからも楽しみだー。

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ところで原作は新刊を追ってなくてやっと4〜6巻読んだのだけど、こっちも凄い。障がい者雇用のテーマについて当事者と雇用側どちらの目線も追っていて。バウハウス肥田野さんとかがやってるまさにアレを、少女マンガの体を借りてすごく分かりやすく、共感できるように描いている。

ドラマ化に際してメディアで「…原作の4コママンガをドラマ化」って紹介されてて、「ちゃんと調べろよなー」とか思ってたら…これ本当に4コマだったんだ…言われて始めて気が付いた。そういえば全ページ同じサイズで4つ割じゃん…て。紙単行本読んでる時は全然気付かなかった。こんな体験は人生50年で初めてです。

映画『サマー・オブ・ソウル』感想

『サマー・オブ・ソウル』をシネ・ウインドで。

最高だった。タイムスリップしながら、心底SOULを揺さぶられた。というか一部号泣。スライが好きなの、こういうとこなんだって!

当時の悲しい背景もさまざまに見て取れるし、単純に楽しめることばかりではないけれど、今だからこそ観る意味のある作品だった。監督は「当時と今には通じる出来事が沢山あるから」作ったそう。フィルムのレストアだけで5か月かかったって。その甲斐あってめちゃくちゃ美しい…。

映画館でこの作品を観るチャンスがあったということに感謝しかない。イオンシネマ新潟西さん、ありがとう。(できればスピーカーをもう少し良いものにしてもらえると嬉しいっす)

自分の生まれる前の年、ウッドストックと同じ1969年の夏、ハーレムの公園で6週間開かれ黒人達を30万人も集めた「ハーレム・カルチャラル・フェスティバル」。
その後語られることなく忘れられ、自分と同じ歳の50年間埋もれていたフィルムを、クエストラブ監督がレストア・編集した。

「Negro」が消え「Black」が生まれた年、1969年。

大傑作ソウル・ムービーでした。興味ある方はスクリーンにかかっている間に是非。

1つだけ後悔。スライTシャツ着て観に行くべきだったぜ…

映画『ハッピー・オールド・イヤー』感想

『ハッピー・オールド・イヤー』をNetflixで。2019年タイ作品。
今PFFで大特集を組まれているタイのナワポン・タムロンラタナリット監督作品。宇多丸氏inアトロクの推しがきっかけ。

『ドライブ・マイ・カー』に続いてこんな傑作が観られるなんて。大好きな作品がまた増えた。

【あらすじ】
実家住まいのジーンは、乱雑な家を一気に片付けミニマリストに変身すべく断捨離を始める。捨てようとした中に友人からのプレゼントがあり、それを当人に見られたのがきっかけで、「捨てる」のではなく持ち主へ「返す」ことを始める。最初は善行と思い始めたこの返却行脚だが、思うほど簡単な話ではなかった。過去の知り合いとで対峙することで否が応でも思い知らさせる自分の過去。自分の人生。どう生きてきたのか。元彼やその彼女との出会いでジーンが思い至ったのは…

同監督作品は初見。主演のチュティモン・ジョンジャルーンスックジンは『バッド・ジーニアス』の主演の彼女(製作スタジオも同じGDH559)。抜群のスタイルと佇まいが醸す独特の空気感は今作でも存分に発揮されていて、大好き。今後もチェックしたい。

撮影・照明がすげえスタイリッシュ。アングルと編集だけで見ていられる位だ。

ずっとジーンを支えるお兄さんが凄くいい。こういう立ち位置の素敵な兄妹がいる作品って大抵お気に入り。記憶力ないのでぱっと思い浮かばないんだけど、たとえばシング・ストリートのお兄さんとか。
あとジーンの親友で恐らく建築家?のスキンヘッドの彼女も。彼女の一言一言、ジーンと一緒に染み入りました。
【以下少しネタバレあり】
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映画『シャン・チー』感想


『シャン・チー』良かった…。ユナイテッドの1番だったのも嬉しい(イオンの1番とは音響が大違い)。

前半だけで言えばMCUで一番好きかも知れない。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ブラックパンサー』『キャプテン・マーベル』に続く自分推し作品登場。自分にとってはフェイズ4初作品になったけど、もう冒頭観ている時から「いったいMCUはどこまで行けるんだ…」となってオラぁワクワクが止まらなかったよ。

クライマックスは大○○暴れまくりの○○対決でアレでアレで…という感じ。

まったく情報入れずに行ったらいきなりオークワフィナ出てきて驚いた。もうこれだけで俺内爆上がり。彼女のあの安心感て何なのだろう。オークワフィナ出てるだけで映画のランクが2つも3つも上がる感じ。
色んな過去名作を思い出させてニヤニヤするシーン続発。そして格闘アクションが良かったな〜。カンフーパンダの実写版グレードアップみたい?どころかあの足の回し方ってそのまんまだよね。

冒頭のバスの中でのアクションシーンは、こないだワイスピ新作観て「わー相変わらずすげーなー」と思ってたけどそれを上回るキレの良さだった。ココ本当最高。

主役のシム・リウ、子供の頃からのマーベルコミックファンで、『エンドゲーム』を1ファンとして観ていた決して有名ではない彼が、オーディション一発で抜擢された話とか、みんな大好物に決まってるから読んだ方がいい。

ヒーロー映画なのに全員アジア人で、いわゆる「イケメン枠」とはほど遠い主役陣3人が、ついに揃ったところ。その格好良さで、もう泣けてきてしまった。

奇しくも?『クレイジー・リッチ』から名優が二人出演しているのだけど、同作と『ブラックパンサー』から続く「歴史を変えた一作」になるんだろうと思う。とにかく面白いし、MCU未見の人でも良さそう。(『エンドゲーム』のネタバレ粗筋を読み『ドクターストレンジ』のキャスト見ておく位やっておくと良し)

エターナルズもすげえ楽しみだし、そもそも予告編でかかってる映画みんな面白そうで、勿論公開がめっちゃ延期になった007とかもあるけど、少なくとも映画の「制作までは」、COVID-19に負けてねえぞ!て感じする。興業は大変だろうけどもね。

映画『ドライブ・マイ・カー』感想

『ドライブ・マイ・カー』良かった。3時間を感じさせない。濱口竜介監督。

監督は最初の本読みを徹底的に感情を抜いた「棒読み」で進めて、その時点で不自然なセリフをカットしていくのだそう。この演出方法を、劇中劇で主役演出家(西島秀俊)にやらせている。自分は知らなかったので最初「?」て思っちゃうのだけど、それ自体が不思議な雰囲気も与えている効果もあって。

主役陣3人は言わずもがなだけど、岡田将生!後半の彼のとあるシーンがあまりにも強烈で忘れられない。

3時間という長さは、演技が自然と個々人からにじみ出てくるのに必要な時間だった、みたいなことを監督がラジオのインタビューで語っていた。本当にそれぞれの役者、「人」が見せるその時々のオーラみたいなものに圧倒されっぱなし。

※あと『ワーニャ伯父さん』のあらすじはざっとで良いので知っていった方が良いです!本編に関わってくるので。

GM製とは言え元SAAB乗りからすると笑っちゃうセリフもあったけど、あんなにキレイな赤(欧州車の赤塗装は剥げる)の900をこうやって作品内に収めてくれたのは本当に嬉しい。

絶対に劇場で観るべきと思っていたし、その通りだった。逃すとずっと後悔するヤツ。


『おかえりモネ』90話あたり

先週末から今週の『おかえりモネ』…ヤバい。というか最近は毎日2回観ている。以下忘れないうちに、Tweetしたまとめも兼ねて。


●みーちゃん(妹)の話、姉妹あるある、家族あるある。だけど忘れちゃいけないことをちゃんと描いている。長男長女である奥さんと二人で盛り上がった。

●「逃げる訳にいかないじゃん」「誰かが残らないと」
これまでずっと脚本の安達氏は、モネ達の両親に「どこへ行ったっていい」「自分の好きな仕事をやればいい」としつこい位に言わせてきた。その上での、みーちゃんのこのセリフ。

「強制されたんじゃないでしょ、自分で望んで地元に残ったんでしょ」そんな簡単な話じゃない。周りの人、特に家族は忘れちゃいけない気持ちがそこにある。

みーちゃんもりょーちんの跡継ぎに関して感じていることがあるから、自分は分かると言いたかったけど、そこまで心を許せるのは、やっぱり幼馴染みで「自分を恋愛の対象にしていない」モネなんだな。喫茶店の「(オムライス)好きだけどね」みたいな会話、ヤバい。

●みーちゃんに服を投げつけられた後、少し払うモネのあの感じ。素晴らしい。ここ最高だよねって盛り上がった。(90話)

この写真は後日の「あさイチ」から

●「ズルい」って言われがちな長男長女。お互い分かってるんだけどなって話。分かってるけど言っちゃうのが家族。姉妹の独特の感じ。だからって流していいものでもなくて(流しちゃいがちなんだけど)。

●おっさんとしてはもちろん「両親達のドラマ」は一番親身に迫るところでな。もう隅から隅まで名優たちの力が存分に味わえる名シーンばかり。

●火曜のさ、新次(りょーちん親父)の家の冷蔵庫の中で作ったあのおにぎり。あの海苔の安っぽさな。スタイリストさん最高。いかにも新次らしい、スーパーで一番安い海苔。ここも盛り上がったポイント

●月曜朝冒頭の喫茶店シーン。りょーちんにほんの1分位で「東京」の居心地の良さの本質を語らせるところ。脚本秀逸。そしてこの2人の醸す空気感たるや。

●期待に応えるのは楽なんだよ。最初はね。段々つらくなる。もいいなぁ。りょーちんここまで静かでいて、満を持して言わす感じ。

●東京と地元で親子がそれぞれ周りの人達に救われるあの同時進行の巧みさ。

●みーちゃんの辛さね。ここ数日で何度「みーちゃん!」って叫んだことか。おれたち長男長女だからもうなんつか、妹が可愛さ余ってもう、というか。でも社会人なんだからさ、とか。いやいや。あーだこーだ。

●友人のすーちゃん、この数日すごい。見せ場沢山。みーちゃんよりも色々経験してきたからこそ、幼馴染みで二人を見てきたからこそのセリフの数々。
でもモネをりょーちんところに一人で送った後の、無言の表情もすごいから。

●菅波先生は反面、サメからこっち大きな活躍はなかったけど…多分水曜からいろいろぶっ込まれる筈(予告より)。

「そういうときにこっちのことを忘れてしまう人のほうが僕は信頼できます」の電話で、ちょっとキュンとでしょ。モネは。

健太郎のアゴのラインは本当に素晴らしい。そして今回「菅波先生」というあり得ないほど素晴らしいキャラを生んでくれたことに感謝。

もうまだまだ1シーンことに言いたいことが沢山あるのだけども…。語りきれん。

珍しく奥さんも一緒にハマってるので(もちろん菅波先生がいるからだ)見たあとあーだこーだ言えるのがいい。

ホント気が滅入る日々だけど、毎朝の朝ドラに救われています。朝ドラがちゃんとしてるかどうかって、めちゃくちゃ重要なんだから!特にこんな時は!

ドラマ『Modern Love』S2-3話(ジョン・カーニー監督回)

Amazonオリジナル『Modern Love』シーズン2-3話はジョン・カーニー監督回。舞台はダブリンで、『シング・ストリート』のヒロイン、ルーシー・ボイントン主演(気付かなかったけどね)。そしてゲースロのキット・ハリントン!こんだけお膳立てが揃ってて面白くない訳がない。

ビフォアサンライズネタもゲースロネタもツボ過ぎて最高でした。このシリーズは1話30分位で見やすいのもいいけど、短いから軽い、んじゃなくて、短いからこそ記憶に残るエピソードもあるよな〜て思う。

『Modern Love』は30分程度で1話完結。シーズン1&2・各8話。ニューヨークタイムズの投稿コラムを原作に、今話題の監督や俳優達がさまざまな現代の愛を描くショートドラマ。待望のシーズン2配信が始まったのだけど、残りを観るのが勿体ないよ…

映画『イン・ザ・ハイツ』完走

『イン・ザ・ハイツ』をイオンシネマで。監督はジョン・M・チュウ(『クレイジー・リッチ』など)

ラテンヒップホップ系の『ラ・ラ・ランド』みたいな映画。ただし目指すはハリウッドではなく、自分がなりたい職業に就くことだったり、お金を貯めて故郷へ帰ることだったり。

舞台は中米系移民の街、マンハッタン北部の実在の街ワシントン・ハイツ。皆明るいが低賃金労働で苦しむ中、ドミニカ出身の主人公ウスナビはコンビニを営みながら、故郷で父の店を再び出すことを夢見て貯金をしている。彼が想いを寄せるのはデザイナーを目指し美容院で働くヴァネッサ。他に秀才で街の期待を負い名門大学に進学したものの、差別に耐えきれず退学してしまったニーナ、タクシー会社で働くニーナの恋人ベニーたちの日常。

物語の軸になるのは大停電だが、そこまでエキサイティングなストーリーがある訳ではない。「何度でも立ち上がる」ハイツ住民達の生き方を、ほぼ全編のミュージカルで描く。優しくて、ちょっとサプライズなエンディングが待ってる。

特に冒頭、セリフ込みですべて一編のラップになっている8分のアヴァンタイトルは圧巻(YouTubeで公開されているので是非)。これを見たのが今回のきっかけだった。『ラ・ラ・ランド』もそうだけど、『ベイビー・ドライバー』アヴァンの、全ての動きが音楽になっているあの感じも思い出す。

監督はアジア人オンリーの『クレイジー・リッチ』(最高に好きだし娘達は3回も観ている)でハリウッド初の大ヒットを飛ばし歴史を変えたジョン・M・チュウ。今作も多分ヒスパニック系以外の主要キャストはいないっぽい。

原作はワシントン・ハイツに実際に住んでいたリン=マニュエル・ミランダ作のミュージカル。アヴァンから移動かき氷屋で出てくるプエルトリコ系移民の彼は、ミュージカル、俳優、作曲で各賞を総ナメにしている超天才。

『シェフ』の余韻に似たところもあって全体的に好きなのだけど、ちょっと長いかな。

音楽のジャンル的にも『リメンバー・ミー』や『シェフ』『ベイビー・ドライバー』までは個人的にノれなかったというのもある。でも『ラ・ラ・ランド』みたいに綺麗過ぎないところも面白いし、ラップがカッコ良かった。アヴァンを観て「好き!」と思った人は迷わず映画館へ行くのが吉。(自分はナイト上映で全2人だった。空気感染も心配しないでいい)

それよりこの映画で一番好きだったのは、主人公のやっているコンビニや美容院、個人商店が成り立っているワシントン・ハイツの暮らしの質感・実感だったのだと思う。(地価高騰などでその生活も揺らいでいく最中な訳なんだけど)

コンビニはただ日用品を売っているだけではない。雇っている従兄弟と共に、毎日お馴染みの住人たちの悩み、喜び、心配ごとを聞きながら一緒に笑って暮らしていく。日本で言う「コンビニ」とは違う、昔田舎にあった「なんか屋」に近い。

店主の収入問題を考えなければ、個人商店の集合で成り立っている街は理想的だし、そんな所に住んでみたいと思う。だけどこの映画でも語られているように、地代が上がれば成り立たないし、そもそもCOVID-19でネット通販に一層慣れてしまった現代ではこの先も個人商店・○○屋の存続は難しいだろう。

自分が思う「東京の価値」って、この○○屋や個人商店や商店街がやっていけることが大きかった。維持できるだけの人口と経済基盤があること。それはNYも似ているんじゃないだろうか。

世界が変わってしまった今後は、一体どうなっていくのだろう。

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』感想


8月6日は『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を観た。Amazonレンタル。

邦画史上最長のノンストップロングランヒットを記録した前作に250カットもの追加と再録音、新曲を加えたニューバージョン。時間は40分ほど長くなったらしい。

おれ、初作のフルBOX持ってたんだけどなぁ…苦笑。でもこっちのCFにも参加しました。

前作は新潟公開時の最初の上映に行った覚えがある。たった二時間の映画なのに、劇場から出たらまるで何年も過ごしたかのような気持ちになった。映画自体はカット割りとかテンポとかむちゃくちゃ早いんだけどね…だからこそなのか?

その前作では省略されて、原作からの補完で想像するしかなかった、すず、リン、周作の関係が、
今作でより明確に出ている。このことで、周作とすずの夫婦としての絆…イヤそういう陳腐な言葉ではなくて、現実としての夫婦っぽさが、そのリアルがより感じられるようになった。最後にあの子供を引き受けることになったエピソードの感慨も、初見時とはまた違う。

だから見終わったときの「一時代体験した感」もさらに増している。前作好きだった人に是非オススメします。今更だけど。

映画『監視者たち』完走

Netflixで『監視者たち』を。2009年の香港映画のリメイクらしいけど、そちらは未見。
監督:チョ・ウィソク&キム・ビョンソ
2013年・韓国

良かった…。
ITや監視技術を存分に活用したクライムサスペンス。その技術の扱いにしょぼい所がまったくない。「それはちょっとないでしょ」的な突っ込みドコロもなく、むしろ驚きながら進んでいく。オーシャンズ8やミッション・インポッシブルのようなエンタメ感も存分に味わえる。

本当にここまで可能かどうかは知らないけど、街中に張り巡らされた監視カメラと、それを使ったセミオートの人捜しの凄さ。攻殻機動隊の世界が普通に現実になってる感ある。

主役の警視庁「監視班」チームの面々やエピソードもイチイチ良いのだけど、なんといってもこの映画の華は悪役のチョン・ウソン!徹頭徹尾かっこいい。痺れる。もう1度みたい。

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