日本全国で「本来のルパン」についての再認識が行われたであろう昨日。皆さんは観ましたか?「金曜ロードショー」。子供の頃観て忘れられなかった御仁はオレを含め多いと思うのです。人造人間マモーです。ルパンは明るいテンポで話している時はさほど気になりませんがシブいセリフをボソッと吐く時とかね。クリカンではやっぱこうはイカねぇよな、と古参ファンズラを決めてみたりした事でしょう。オレですが。
ルパン「夢ェ盗まれたからな。取り返しに行かにゃぁ。」
次元「夢ってのは、オンナの事か。」
ルパン「実際クラシックだよ、オマエって奴ぁ。」
大好きなシーンです。他のシリーズではまずあり得ない、次元も五右衛門もいないフィナーレへと向かう若きルパン。「カリ城」で
「俺は一人で売り出そうとやっきになってる青二才だった…」
としみじみと振り返る中年の渋みは未だ見てとれません。青二才の負けん気がこの映画には溢れています。
ルパンが「夢を盗まれた」と言うのは多分、ひたすらコケにされた悔しさの事だと思うのです。勿論不二子の事もあるのでしょうが。次元までのフェミニストではない。若きルパンはあんなふうにコケにされるのが何より許せ無かったと思うのです。自分のクローンを勝手に作り処刑され、ポリシーに反する欲しくもない永遠の命を与えるからと拉致され、睡眠薬や地震のトリックを仕掛けられる。しかも世界を破滅させ不二子と2人でやり直すと言う。自分の好きなオンナを汚い手を使い奪っていったあのとっちゃんボーヤ。
若い時期には至極マットウな「負けん気」から、ルパンはリュックを背負いマモーのアジトへと向かいます。青二才の正義感が清々しい。次元のフェミニストぶりも上の2人のやり取りもたまらなくカッコいい。シビレます。あらゆる意味でまだ若かった3人の男の生き様。ソレが一番の見ドコロだと思います。
「カリ城」がやっと評価され「風の谷のナウシカ」がヒットし始める頃、宮崎駿は「ルパンはもう死んでる。死人で映画は作りたくない」とゆう様な事をどこかで語っていました。「死んでる」というのは「時代に合わなくなってしまった」とゆう意味なのですが。この言葉をリアルタイムで聞いた時は随分ガックリしたモノでした。28歳の今になってこの「vs人造人間」を観、「カリ城」を思い起こしてやっと納得がいった気がします。ルパンは時代に取り残されたスーパーマンだ、そんな気がします。今ムリヤリ若返りさせられ(死人を起こし)この時代に付合わされてるルパンは何だか滑稽で、もう自分で自分を笑ってるんだろうなぁと、
そんな事を思いました。