NHK『ワンダーウォール』感想

NHK『ワンダーウォール』観ました。渡辺あや脚本でNHK京都制作の単発ドラマ。7月に放映されてから各方面で大きな話題を呼んでました。いやー強烈だった。

そしてお膝元の京都からこないだ出たばかりのムック本をいただいたり。ええー買うのに!と思って奥付見たら誠光社さんが出しているんだ。なるほどこっちでは入手が難しいのかも。 @makotokawamura さん、サイコーです!ホントありがとうございました。これがもう最高に素晴らしい1冊で…言葉がタリナイ
ドラマは NHKオンデマンドで200円ちょっとで観れます。興味ある方はぜひ。

【ドラマあらすじ】
京都の歴史ある学生寮「近衛寮」は、一見無秩序のようで、私たちが忘れかけている言葉にできない“宝”が詰まっている場所。そこに老朽化による建て替え議論が巻き起こる。新しく建て替えたい大学側と、補修しながら今の建物を残したい寮側。議論は平行線をたどり、ある日両者の間に壁が立った。そして1人の美しい女性が現れる。
乱される心と秩序。純粋で不器用な寮生たちの青春物語。
(公式サイトより)

冒頭から引き込まれ、ドラマを通底する劇伴の素晴らしさ。サントラ欲しい(出てない)。
オーディションで集められた若手俳優達のリアルな演技。最初に対峙する「壁」への圧倒的な無力感。あの感じ。
敬語禁止、多数決禁止、全会一致が原則の今時期想像できないようなアナクロ学生自治寮。セットだと聞いても信じられないリアルな寮。その居心地の良さ。だからこそあのゲロはマジヤメロ〜(観てた家族全員で叫ぶ)
最後え?というあっけなさで終わるんだけど、だからこそ何度も観たくなり、考えさせられる。
美術と劇伴が素晴らしい。

このドラマにいたく感動した大友良英が自身の「JAMJAMラジオ」に渡辺あやを呼んだ回(全2回)がとっても良くて、その中で渡辺あやがこのドラマを作るきっかけになった、企画を持ち込んでいる25歳のNHKディレクターの話をしていて、その若い彼を通して、今も変わらず学生が心のどこかで求めている「目的のない場所」の必要性について語っている。

寮の大切さは建物だけではもちろんなく、そこに集まる学生たちを包み込む「場」の質。それを担保するのが建物だったりする訳だ。でも今の時代、こういう場所に出会う機会がそもそもない。だからなくなる危機自体に気付かないんだけど、ふとしたことで出会ってしまったそのNHKディレクターのような人が、そのことに気付き、それを動機として物語を作ろうとしているのって、とても正しいんじゃないかと思って脚本を受けることにしたと。この話がやけに印象に残っている。自分も寮じゃないけど、やっぱり大学時代に一瞬だけど、そんな場の力を感じることがあった。同じように古くて、今はもうないサークル棟だ。酷い時は毎日のように吞んでビデオを編集して、泊まっていた。あの夜越しに友人とした話の内容は、何故か今でも結構覚えている。

【ムック本】
ちょっとドラマの写真集とはとても思えないクオリティです。あの空気感が見事に現れている。
撮影&著者が澤寛。

寄稿が内田樹、澤寛、渡辺あや、大友良英。それぞれがイチイチぐっとクる。
内田樹さんはご自分が勤められていた神戸女学院の校舎を設計したW.M.ヴォーリズの設計意図をもって、あらゆるところにあった「学びの比喩」について語る。

渡辺あやは、「田舎」がそのパブリックイメージにより「捨ててもいい」という見られ方を当たり前にされることに対して「名前のついていない病気のようなもの。だから誰も気にせず淡々と進行する」と書く。その極めつきが学校がなくなること。それは未来と同時に過去を奪われてしまうこと。共同体が癒やしようのない傷を負い、いずれは死に絶えてゆくしかないということだと。死因の1位が「自殺」である田舎と、その原因を20年越しに考えて続けてきた彼女に、今回のNHK京都のオファーはすっと落ちたらしい。

でも、この本の中にはモデルになった「吉田寮」のことは一言も書かれていない。一番肝心なその場所を巡る話、その場所が渡辺あやや役者やスタッフに与えた希望と絶望について、一切書かれていない。渡辺あやはその「書けない」ことについてもちゃんと言及している。「私達は今、そういう社会に生きている」

あやさんのドラマがなぜ心に響くのか、前述のJAMJAMラジオで大友氏がずばっと聞いていて、それは単純ではない社会の複雑さ、壁のこちら側だけではなく向こう側までも平等に、ちゃんとドラマに落とし込もうとしているから。ドラマならそれができると信じているから。いいも悪いもなく事実を配置し、その配置で感じてもらうことができるから。
でも、だからこそ、「壁」に阻まれお蔵入りになっている脚本が、彼女にはたくさんあるらしいです。彼女自身もそういう「壁」とリアルタイムでずっと戦ってきた人なんだな。もちろんこのドラマも。

『ブレックファスト・クラブ』感想

『ブレックファスト・クラブ』をAmazonレンタルで。1985年の作品。
何かと言うと「ブレックファスト・クラブみたい」「あれのオマージュでしょ」という説明で良く名前を聞く作品、やっと観ることができた。

「アメリカの高校における「スクールカースト」の存在を暴露した映画として知られる」とWikiにありました。カーストの下にいる子も、上にいる子だって、それぞれがそれぞれの悩みを持っている。補習で一緒になった、普段はまず一緒にならないような5人(ガリ勉、スポーツ馬鹿、不思議ちゃん、お姫様、チンピラ)が、お互いの身の上話をしていくうちに…という話。『桐島、部活やめるってよ』のアレ、いや違う、『ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル』のアレです)

人物描写が幾重にもレイヤーになっていて、目が離せない。異国で時代も違う学生同士のコミュニケーションのやり方は所々違和感あるけど(韓国『SUNNY』と一緒)、その違和感は決して不快なものじゃなくて「へぇ〜そうやるんだ〜(感心)」という気持ち。でもそんな違和感は関係無く、やっぱぐっとくるポイントは万国共通なんだわね。

【以下ネタバレ】
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『ロボコン』感想

『ロボコン』をAmazonレンタルで。2003年。出演は長澤まさみ、小栗旬、伊藤淳史、塚本高史など。

パッケージビジュアルのイメージとは真逆の、激渋い映画。最後までひたすら淡々と進む。いわゆるこの手の若者向けセーシュン映画なベタ演出は無いので、苦手な人も安心ですよ。

ロボコンのシーンはまるでNHKの番組そのままのよう。その徹底したリアル志向(すべて実際に何度も何度も対戦して撮影しているそう)は見事功を奏し、クライマックスの奇跡的な瞬間に、思わず「うおっしゃあああああーーー!」て一緒に叫んでしまう。あの瞬間!あの奇跡!こんなタイプの盛り上がりはなかなかないと思う。そしてそれこそがフツーの青春とは違う、理系甲子園ロボコンのリアルなのだ。これはさすがに映画なので最後抱き合ったり叫んだりするけどさ。

ロボコン好きなら絶対オススメ。出てくる学生は殆どホンモノの高専生で、ロボットも実際に常連チームの学生が作ったもの。そこらへんの撮影裏話は監督の出した本『青春ロボコン』にも詳しい(絶版)。初主演長澤まさみは旋盤加工からロボットの操縦まで全部実際にやっている。なにしろ映画制作の裏テーマは「本当にやる」だそうですから(同書より)。

傑作青春映画と言えるかは微妙だけど、最高の「ロボコン映画」なのは間違いないと思う。でも同じ監督の他の映画を調べてまで観てみたいとはあまり思わない(笑)。あくまで「ロボコン」の持つ魅力を素直に映画にできた良作なんだろうね。もちろんもちろん、今をときめく俳優達の15年前の初々しい姿も見どころです。

『メグ・ザ・モンスター』感想

『メグ・ザ・モンスター』をシネコンで。2D字幕。
面白い!サメ映画とか言いながら、前半は完全に良作SF。演技はみんな三文芝居、挟まれるお涙頂戴エピソードもベタベタで鼻白み〜なアレなのに、そんなのみんなまとめてぶっ飛ばすアクションの面白さ!イヤむしろ演技なんてコレでいいのだ。コレがいいのだ。分からんがきっとそうだ。「あなたの思う『サメ映画』は、今は全然別のモノになっている」という、 #アトロク のサメ映画特集の言葉、ホントその通りだった。すげえ。
お金が無いんで2D字幕にしたけど、出せる人は4DXをオススメする!きっと忘れられない体験になりそう。

ヒロインともう一人の黒髪女性の顔が、どうしてもCGに見えちゃう位嘘くさくて、それが最後まで慣れなかったなぁ。他の女優さんだったらもっとノれたのに。

『空飛ぶ広報室』感想

『空飛ぶ広報室』全11話をhuluで。
野木亜紀子ドラマ『フェイクニュース』『獣になれない私たち』までの「野木つなぎ」として見始めたんだけど、何だこの傑作。2013年。

途中で調べたら、演出・制作を土井裕泰氏が手掛けていた。『コウノドリ』『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』『カルテット』『この世界の片隅に』ここ数年ハマったドラマの殆どを手掛けているTBSの演出家。こないだ書いた『ビリギャル』の監督もこの人。そりゃ、面白い訳だ。

ドラマの後味は『重版出来!』に似ている。その共通点を挙げると

  1. 業界に対する深いリスペクトと理解。上っ面な「取材しましたネタ」に終わらせず、その世界の人達が大切にしている想いが血肉となり脚本の芯を貫いている。
  2. アテ書きをしたかのようなセリフのリアリティ。ドラマでシラける時の大きな要因「この人はこんな言い方しないよ…」という違和感がない。
  3. 脇役がいない。すべてのキャラが生きていて、どこかでちゃんと温かい目線でスポットが当てられる。だから出てくるキャラが皆好きになる。
  4. 毎回必ず、どっかで泣かせられる。
  5. ムロツヨシがいい。重版出来と同じような役で、しかも同じように「ドラマ通してナンバーワン感動シーン」を持っていく。今回は震災時に子供達の相手をしていた体験をガッキーに話す場面。最初は笑っていたのが、ふといきなり、聞こえないような小声になる。最初笑顔のまま。ここからの演技、ほんの1〜2分でしかないんだけど、思い出すだけで泣けてしまう。
  6. 恋愛要素はあれど、決してメインテーマではない。あくまで仕事のことが中心に描かれている「仕事ドラマ」であって、そういう意味で自分的には「ハチクロ」感もある。たとえばガッキーが綾野剛との関わりで後悔して泣くシーンは、「男と女」の悲しみの涙ではなく、自分の局社員としての力量不足で彼をフォローできなかった、悔しさの涙だ。メインテーマ「なりたいものになれなかったとしても、そこから始められる」という説得力も見事。時事性も含め、野木さんココがほんとすごい。

このドラマ自体が本物の空自広報の力で作られた「成果物」だ。実在の広報とTVディレクターが作り上げたもの。そのメタ構造がいい(原作小説は空自広報の働きかけによって書かれ、広報部の実際の人物がモデルにされている)。
だから今作で、綾野剛(空井・空自広報)やガッキー(稲葉・TV局ディレクター)が空自をロケ先に撮影しているだろうその雰囲気だって、ドラマを観ていれば想像できるし、裏にいる本当の空井や稲葉の存在、実在の彼らが何をして、何を大事に思っているかが良く分かる。このドラマを広報室で観て、俺たちの知らない本当の広報部の皆がハイタッチしている姿さえ目に見えるようだ。

「自衛隊の広報番組」としての役割も十二分に果たしている。自衛隊がどういう時に出動できるのか。何故こういう時に出動できないのか。人殺しのために訓練している、などと言われることに対して、序盤から主役の綾野剛をはじめドラマ全体で答えを伝えようとしている。パイロットや広報だけでなく、廻りで支えるさまざまな部署の仕事が細かく描かれていて、自衛隊のプロモーションとしてバッチリだ。勿論出てくる飛行機のカッコいいことと言ったら!
さらには自衛隊の広報を超えて、そもそも「広報」という職種がいったい何なのかが、とても良く分かる仕組みになっている。

難点もいくつかあるが、一番は劇伴のしつこさかな。安室奈美恵の書き下ろし主題歌「Contrail」は本当に素晴らしい曲だけど、ちょっと使いすぎだ。あと演出がたまに「?」になるとこあった。

女性広報・柚木のエピソードとかとても好きだし細かくは書き切れないけど、今言っておきたいのはガッキーの演技力だ。今作で改めて彼女が演技上手いなぁ〜って実感した。演技の巧さって、役柄の幅広さで「演技派」と認識され広まっていくような過程が普通で、分かりやすい。だけどガッキーには幅広い役のオファーが余りない?から、これまでちょっと分かりにくかった。今や彼女が出ていればドラマの質は2割増し間違いなしだと思ってる。(同じ格言を以前は深津絵里で言ってた。「彼女がドラマに出たら2割増し」)

今度の野木ドラマ「獣になれない私たち」は、主役がガッキーに松田龍平、その他が春たんこと田中圭に黒木華に菊地凛子に「この世界…」の伊藤沙莉に…ともう期待しかないラインナップ。やばいよこれ。超楽しみ!

『オーシャンズ8』

『オーシャンズ8』観た。最高。
オーシャンズシリーズをそれほど熱心に観ていた訳ではないけど、グッとくるポイントをそのまますべてを女性が演じているだけで、何と嬉しいんだ。この気持ちたるや。ああ良い映画を作ってくれた。

シリーズ通して、だと思うけど、ずっとあまり緊迫しないんだよね。ゆるい。このゆるさがまたいい。なんだけどさ、ケイト様が出てくると急に息が止まってしまう。彼女の出てくる全カットが、あまりに好き過ぎて息が詰まる。身体の動き、ファッション、表情、あの声。もう神様だ。元から本当に好きだったけど今作はそれを超えて神になってしまった。
特に最初のカフェのシーンのラストの笑い声ね。100万ドルですよ。

(写真はオフショット)

色んな映画のケイト様だけ編集して延々流していたい。あの声と一緒に。
ありがとう。ああありがとう。オーシャンズ8に彼女を採用したプロデューサー、本当にありがとう。いやアン・ハサウェイだって超好きなんですけど、ケイト様はもはや神。

『ハッピー・フライト』感想

昔のシネマハスラーで褒めてたのでずっと気になってた『ハッピーフライト』をNetflixで鑑賞。フジテレビ制作、世界の亀山P、ANA全面協力、綾瀬はるか主演と、矢口史靖監督という以外はどれ1つとっても面白くなりそうな要素はないし、この頃は未だ『WOOJOB!』『サバイバルファミリー』前なので矢口ブランドも自分的には全然なかったし、普通なら100%スルーな映画だろう。タマフルをきっかけに観れて良かった。楽しめた。

飛行機や飛行場に関するプロの仕事の様子が、専門用語をバリバリ交えながらも変に説明したり希釈したりせず、淡々と丁寧に描かれている。これは事前の想像とかなり違ってた。全体を通してずっと「プロ意識」が描かれているし、能無しにイライラさせられる場面がないから(ある人のシーンを除いて)基本的にストレスがない。出てくる皆がちゃんとトラブルに対応しているその様を見ているだけで、気持ち良かった。

そして。
綾瀬はるかの出演部分だけが異常に浮いている。というか、綾瀬はるか部分だけが、そのセリフも演出も演技力も、プロットも、そこだけは忠実にフジ制作・駄作ギャグ映画のセオリーを忠実になぞっていて、まるで別の映画みたい。残念。綾瀬はるか、多分この映画に出て1つもいいところないし、この映画の出来にとってもあまり良いところがあるように思えない(お客さんは呼べるのか)。こんな使い方をしちゃうから、悪循環でどんどんこの手の役が廻ってきてたんだろうなぁ。

ただし。
メインビジュアルではぱっと見、綾瀬はるかが主役のように見えるけど、実際彼女は主役でもなんでもないんです!(驚)。もう一人メインビジュアルに映ってるコ・パイの田辺誠一は主役と言えなくもないけど、この映画、基本は飛行場のスタッフ達の群像劇。特に飛行機と管制塔とグランドスタッフ間の連携が見どころだと思う。それぞれにプロの仕事をこなしていて魅力的。

かるーいノリで進んでるのに、いざとなった時のチーフパーサー役の寺島しのぶが見せる決めセリフとか痺れた。グランドスタッフの田畑智子なんて見せ所が1番多いんじゃなかろうか。彼女とお客さんの、最後のさりげない余韻も好き。そして、ジャンボジェットがちゃんと!カッコ良く見える、萌えカットがいくつもある。仕事で関わってた、村上で製造しているであろうギャレー(キッチン)の実際の使用シーンが沢山観れたのも嬉しい。

つかこんな長く感想書くつもりじゃなかったのに(笑)。意外と楽しめました、ということで。

TBSドラマ『この世界の片隅に』感想

スタッフのラインナップを見た時からすごく楽しみにしていたTBS『この世界の片隅に』。すべてのキャストがこれ以上ないほどハマっていて今1番楽しみなドラマ。映画と比べ尺がうんと長いから、当然幸せ期間も長くて、その分こちらは十二分に思い入れが強くなっているので、後半を観るのが怖すぎるンですけど…

まさか能年玲奈以外にすずさんをこんなに体現できる女優がいたなんて。旦那役も水原もすずの妹もお父さん達も女の子も辛すぎる程にはまっている。特筆すべきは大人達にひけをとらない子役の演技・演出。尾野真千子だけが唯一ベタ過ぎて最初気になっていたけど、ドラマならではのサイドストーリーを加えることで彼女のバックグラウンドが分かり、こちらにもまた感情移入することで盤石の布陣に。

5話の電車ですずが初めて怒りを露わにするシーンで、ああほんとに松本さんはすずさんにピッタリだと再認識した。

あと23年ぶりにTVに出るという仙道敦子さんの見事な母親ぶりにも感動するなぁ。きっとこれまでの子育て生活が女優としての蓄積になっているんだろう。5話は彼女の見せ場でもあった。welcome home Nobuko! (アッシュへのセリフみたいに)これからもぜひ素晴らしい演技を見たいです!

ほんわかした画でなんとか観るのが辛すぎないレベルに収まっていた原作やアニメに比べると、実写ドラマはすべてが生々しくなっているし、リアル。だからこそ、原作や映画ではそこまで実感できなかったあの時代のあれやこれやが身に染みて感じるようになる。日常の中でどんな風に戦争が始まっていくのか。ああきっとこんなだったんだろうなぁ、という空気感がすごく伝わってくる。

3話くらいからドラマオリジナルのプロットが加わってきた。この先のどういう伏線になるのか分からないけれど、怒濤の後半を戦々恐々としながら待機する。鷺の話とかもう…もう…。
6話の予告で既に号泣。

『カメラを止めるな!』感想

『カメラを止めるな!』待ちに待った新潟公開。先輩達の助言に従い情報一切入れずに行ったよ。最高にハッピーになる映画!イヤなこともみんな忘れさせてくれる超楽しい映画。最初だけちょっと我慢しなきゃだけど、最後にはあまりのハッピーさに泣いていた、そんな映画。ハッピー気分そのままに、ちょっとした夜食を食べながら(この日のためにとっておいた)ムービーウォッチメンを聴きつつ新潟に帰る道中の、幸せなことと言ったら。
帰ってパンフレットを見て1P目の監督コメントでまたいきなり泣かされた。

「(中略)なんという恐いもの知らず。無知で無名で無謀。それが掛け算されると無敵になるのだ。しかしそれで良かった。無知で無名で無謀で良かった。完成した映画を観てそう思った。あの夏、僕らは無敵だった。」

演劇ワークショップを通じて、学生や知られていない俳優(失礼)だけで作られた、しかも長編映画監督デビュー作。公開当時の全国2館上映から、拡大に次ぐ拡大で現在百何十館に。映画の中がそのまま現実になるようなこの物語。リアルタイムで参加できて良かった。新潟市に来たらまた行きたいな。

『ありがとう、トニ・エルドマン』感想

『ありがとう、トニ・エルドマン』には「気まずい映画大賞」をさしあげたいと思う。以下少しネタバレ含みます。iTunesレンタル・字幕。

ルーマニアで国を相手にしたコンサル会社に勤める、バリキャリ・独身女性のイネス。彼女を心配して、ドイツから父ヴィンフリートがやってくる。ギクシャクした数日を過ごした後一度帰ったかに見せた彼だが、カツラと出歯の入れ歯を付け「トニ・エルドマン」を名乗り、彼女の周辺に現れるように…。

劇伴が一切入らない、日常そのままのような撮影とリアルな演出が作劇意図と見事にマッチングしている傑作。淡々としているけど飽きることはなかった。

悪ふざけの好きな彼が娘の周りでやらかすイチイチが笑えず、気まずい。パーティーで娘の友達や同僚、時にはクライアントにまでちょっかいを出す父、気まずい。宣伝通り「笑いと涙」の「笑い」の部分も勿論あるんだけど、とにかく気まずいシーンがテンコ盛りで、そっちの方が印象に残る。そのあまりの「あちゃー」ぶりが辛くて、最初少し観るのを中断した位。

娘を思う父の気持ちは勿論とても共感できる。が、それよりも「親、うざっ」と思ってるイネスの方に感情移入してしまう。でも彼女は怒らずちゃんとしてて、凄いな。その怒らない理由も後半で分かってくる気がする。物語は途中から急展開を見せ(という表現が相応しいのかどうか)、親子の絆に涙する。とは言ってもやはり全体には変わったつくりの物語だろう。

ヴィンフリート(トニ)が娘と一緒に、リストラ予定の石油採掘所へ行くくだりがすごく好き。労働者とのちょっとした触れあいを通じて、彼の考え方がにじみ出てくる。淡々とした演出はここでも見事にはまって効果を上げている。

途中のとある歌のシーンでモーレツに泣き、その後の展開には唖然。そしてまた…。色んな解釈を聞いてみたくなる、人と話したくなる映画。感情をあまり表に出さないイネスを演じるサンドラ・フラー、からだ全体で愛を表現するヴィンフリートはペーター・シモニスチェク、ドイツ人両俳優のコンビが素晴らしい。思い出しただけで泣けてくる。

【2018年の天災】異常気象de酷暑の夏

7月の最終週から8月の第一週まで雨ゼロ。
毎日33℃超えの酷暑。全国で40℃超えも頻発で死者続出。政府は「災害」警報を出している。
毎日海水浴日和ではあった(さすがに熱すぎるけど)。

8月5日に初めての雨(一時的だけど)、8月7日は24℃でいきなり寒い朝。なう。

■追記8/23■

その後も酷暑はずっと続いたが、8/17頃から?数日急に秋のような涼しさに。
これで酷暑も終わりか?と思ったが、
8/20からは、前と変わらず1週間ずっと30度超え(下手したら35度)で雨無しの天気が続いている。
いつまで続くんだ…

『ジュマンジ / ウェルカムトゥジャングル』感想

『ジュマンジ / ウェルカムトゥザジャングル』をAmazonレンタルで。
やたらに良い前評判も納得。上半期「一番楽しくスカッとする映画大賞」をあげたい。「ゲームの中に入る」とか「ジャングルで動物たちに襲われたりのアクション」は単なる舞台設定でしかなくて、主題として貫かれているのは「高校生達の成長物語」。笑って、ドキドキして、ほろっとさせられて、の見事なエンターテインメント。しかもその殆どを演じているのは高校生でも何でもないおっさん達という、すごい作品。

現代の高校生4人組がいきなり「ジュマンジ」というジャングルが舞台のTVゲームの世界に放り込まれる。もとの世界に戻るにはゲームをクリアしなくてはならず、それぞれのキャラクターに与えられた特技を生かしながら協力してゴールを目指すことになるのだが…

高校生達はゲームの中で、テキトーに選んだ自分とは全然違うキャラクターとして生まれ変わる。主人公のなよなよゲームオタク・スペンサーは筋肉ムキムキのドゥエイン・ジョンソンに。SNSの自撮りに命を賭けるギャル・ベサニーは、ヒゲで中年デブの博士ジャック・ブラックに。スペンサーと微妙な関係にある幼馴染みのムキムキ黒人フリッジは、武器運びしか能のないチビに。ガリ勉でコミュ障少女マーサは、トゥームレイダーばりの空手少女に。

普段の自分とは違う外観の人間になり、得意にしていたことが役に立たず戸惑っていた4人が、次第に自分の力をお互いのために生かし、協力していくようになる。その過程では自然と現世での自分達の振るまいを思い返すことに。彼らの成長の過程、気付きの過程が押しつけがましくなく自然に描かれていて気持ちいい(何度も書くけど演じているのは全然別のおっさん達なのに!)。さらに、自分達のためだけではなく昔からゲームの中に閉じ込められていたあるキャラクターのために力を合わせ、最後には…というくだりで、また物語の深みが増す。泣いたよ。

高校生が中に入っているキャラクターを、見事に演じている4人。全員がイイんだけど、特に「オタクinドゥエイン・ジョンソン」「女子高ギャルinジャック・ブラック」の二人は、これだけのために観てもいいくらいだ!
ドゥエイン・ジョンソンの表情・しぐさがもう最初から最後までオタク・スペンサーにしか見えない。しかもその存在や行動自体が、彼が普段やらされているムキムキ・キャラクターをパロっているメタ構造もあって、二重に笑える。ドゥエイン代表作の一つになるのは間違いないだろう。

他にも世界イチ無様なキスシーンとか、ガリ勉女子の悩殺シーンとか、爆笑名シーン沢山。
忙しくて映画を一緒に観れない長女だけど、きっとこれ観たら『グーニーズ』なみに好きになるんだろうなぁと残念な思い。一緒に観たかった…。

『RAW』感想

『RAW』をiTunesレンタルで。
「失神者続出!」のアオリ文句はちょっと大袈裟に思えるけど、それなりにグロいシーンもある仏のホラー作品。町山さんのたまむすびで評を聴いたのがきっかけ。
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ベジタリアンの少女が、姉も在学中の全寮制獣医大学に入学する。動物の血シャワーや強制生肉食いといった新入生いびりの儀式を経て、彼女の身体に異常が出始める。そんな時ふとしたトラブルで姉の指を切断してしまい…。
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エロティシズムを感じさせない天然系美少女は新人のギャランス・マリリエ。その不思議な魅力につられ、やがて明らかになるオカルト設定と、姉妹の間の離れがたく生々しい「質感」にグイグイ引き込まれた。全体を通して「質感」「触感」にクる映像。ホラーは全然好きじゃないけど、新体験だった。
(あとファーストシーンで事故る車は自分が前乗ってたのと車種も色も同じなんよ)

『オーバー・フェンス』感想

佐藤泰志原作映画化・三部作最終章、山下敦弘『オーバー・フェンス』。

これまで色んな映画やTVで山ほど観てきたオダギリジョーだけど、今作で初めて「すごい俳優じゃね?」と実感した。ルックスがこれなので何ともなのだけど、観ている自分の眼には、もっさい別の顔をした男が、映画の中で確かに実在し動いていた。それ位圧倒的な説得力。見事。

蒼井優、「あ、これは惚れてまうわ」な最初の振るまいに続いて、「あ、これはハマるとヤバいわ」なキレ感。あるある過ぎて胸が痛くなる。で、蒼井優じゃなきゃここまで惹かれるキャラ造形にはできなかったと思う。

職業訓練校の中のゴタゴタとか、先生との揉めごととか、あの何ともならない感じ。
『そこのみて光輝く』ほどハードではないけど、絶望の中をほのかに照らす彼らへの、愛おしい感情。いい映画観たよ。

『万引き家族』感想

『万引き家族』観たよ…。すごいよすごい。役者が皆本当にすごい。リリーさんに安藤サクラちゃんに希林さんは勿論松岡美優は勿論二人の子役もどっちもどっちも、主役家族が皆、ド級にすごい。きっと可能にしたのは是枝神演出。美術も撮影も。細野晴臣の音楽も、すべてで持って行かれる。後をひく。でも決してイヤな気持ちではない。

でも音楽は前の晩に『海街diary』の5回目位の再見してて、相変わらず菅野よう子にぞっこんだから、もし菅野さんだったらどうしてたかなぁ〜という期待を捨てきれなかった。

是枝監督の映画は、子供関係で辛そうで観てないのも結構あるし、役者としての福山雅治が超苦手なので途中で挫折したのもある(なんでなんだろう。福山氏個人が嫌いな訳じゃ決してないのに)。でも今作は大丈夫。安心して観ていられる。あと前情報あまり入れない方が良いよ。「聞くと観るとは大違いだなぁ」と思った。

#アトロク のムービーウォッチメンも、是枝監督が出てる次週の子役演出の回(めちゃくちゃ面白い)も、観た後に聴くことをオススメします。で、また観に行きたくなるね、きっと。

ど級にすごい主役陣の中でも、改めてすごいなぁと思ったのがリリーフランキー。田中邦衛を何回も思い出した。パンフレットを読んでもリリーさんとサクラちゃんの「感じ」は神がかってる。松岡美優もそんなこと言ってたね。映画館で観るのをお薦めします。

『ギフテッド』感想

『ギフテッド』をiTunesレンタルで鑑賞。
映画館で観なくて良かった。クライマックスでは号泣どころか声を上げて嗚咽しそうだ。
こんな可愛くて魅力的な子役見たことない。天才。これこそ「ギフテッド」。

【あらすじ】フロリダの海辺の街で、ボートの修理をして生計を立てている独り身のフランク。彼は、天才数学者だったが志半ばで自殺してしまった姉の一人娘、メアリーを養っている。彼女は、先天的な数学の天才児“ギフテッド”であり、周りは特別な教育を受けることを勧めるが、フランクは「メアリーを普通に育てる」という姉との約束を守っていた。しかし、天才児にはそれ相応の教育を望むフランクの母イブリンが現れ、フランクとメアリーの仲を裂く親権問題にまで発展していく――。(公式サイトより)

(以下ちょっとネタバレ有り)
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『タクシー運転手』感想

シネ・ウィンドで鑑賞。
上半期ギリギリで飛び込んできた大傑作。シネ・ウィンドさんが夜間上映やってくれたおかげで観れた!

人情コメディと報道ドキュメントとマッドマックス的アクションが一緒になったシリアスエンターテインメント。前評判がとにかく絶賛onlyだったけど、それも納得の出来です。個人的に韓国映画にたまに見る少し過剰なセリフ回しの演出がちょっと気になる位で、今年ベストに入るのは間違いなしの愛しい作品。

行く予定がある人は、できるだけネタバレを見ずに(これも読まずに)まっさらな状態で観ることをオススメしたい。何度も泣きました。出てくる俳優皆素晴らしい。ソン・ガンホは勿論、広州市タクシー運転手のユ・ヘジン、大学生のリュ・ジュンヨルらの笑顔ときたら。

ノンポリで政治などまったく興味なく、学生のデモにいつも文句言ってる、いわゆる「小市民」の代表・タクシー運転手ソン・ガンホが、目の前にいきなり展開するどうしようもない現実を前にして変わっていく様に、自分に何が出来るのかを葛藤し行動していくその芯の強さに、熱くなる。

ドイツ人ジャーナリストをなんとか無事に脱出させようと手を尽くす光州市民にも泣かされるけど、大事なのは「多分この人たちは、デモがなくても、普段から困っている人がいれば助け、おかしいと思うことがあれば自然に声を上げているんだろうな」と思える描写で、そこが自分的には1番のポイントだったように思う。顧みて自分はどうなんだろう。

決して他人事でない、このような状況になったら自分はどう動くのだろう。娘のために、将来のために、何ができるんだろう。考えさせられた2時間弱。間違いなくこの主人公達のようには動けない。平気で多数に従い人を殺す側になると思う。「小市民」?よく言えたもんだ。

それが分かっているから、そういう未来にならないよう、せめて少しでも手を尽くす。目を疑うような政府や軍の弾圧も、まさに俺のような人間が沢山いるから実現される。端からは狂ってるように見えても、その中にいる「俺」にとっては何の不思議もない当たり前の世界。一旦そうなったらもうひっくり返せない。

さて自分は映画を観ただけではどうしても理解し切れないところもいくつかあって、それらはパンフレットや町山智浩さんのたまむすび解説などを聴くと分かります。

1番気になったのは「軍が何故ここまで非情になれたか」。一つには光州市のある全羅道(チョルラド)への全国的な地域差別感情。もう一つは、当時の北朝鮮が学生の民主化デモを操っているといたという認識、なんだとか。当初は「北朝鮮の手先である全羅道の非国民アカ学生をつぶせ!」だったのが、軍の対応を見て味方になったノンポリの市民達もすべてまとめて同じ対象になってしまい、ここまでの惨劇になってしまったと。(町山さんのラジオ要約)

パンフの全体的な出来はあまり良くないけど(特に翻訳が気に入らない)知識面のサポートがなるほどなので買っておくと良いかも。

シネ・ウィンドでの上映も半分を超えたと思います。この機会は見逃さない方がいい。劇場で、この空気と気持ちを共有しながら観るのが、意味のあることのように思えました。半分以上笑いながら観れる楽しい作品ですからね!(でもそこはかとなく漂う不穏な空気は最初から感じていて、これはストーリーを知っていたからなのかどうなのか、知りたい)

あ、あと主人公のタクシーがめっちゃカワイイ!カリオストロの城に出てくるパトカーとか、あんな感じ。ちょうど同じ頃の作品だからね…。あの緑色も理想のマッチングを目指して何度も何度も塗り直し試行錯誤したらしい(パンフレットより)。高速道路を通る多数の車もみんな当時のもの。すげえなぁ…さすが韓国。

映画を観て思うことがあり光州に行ったというウィンドの井上支配人。劇場には市の地図が貼ってあり、チャンスがあれば支配人の現地解説が聞ける。「今の」光州市の話や、主人公の2人のその後の話、特に映画にもパンフにも出てこないタクシー運転手のその後の話に…(;。;)

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