『火星の人』

アンディ・ウィアー『火星の人(ハヤカワ文庫SF)』読了。
他のすべての予定をなげうってでも、ひたすら読みふけりたいと思わせる、久しぶりの読書体験だった。大傑作!!サイコー!!

このレビューを書いている今日現在、アメリカのAmazon.comでは原作本『The Martian』に5000人超がレビューをし、そのうち3650人が5つ星の評価をしているSF長編です。
Amazonレビューより

日本では2016年2月に劇場公開される映画『オデッセイ(邦題)』の原作小説。
トラブルに見舞われ中止&途中帰還となった有人火星探査ミッション。脱出時に死亡したと思われ、火星に只一人取り残された植物学者でエンジニアのワトニー。彼がなんとか地球に帰還しようとしてあがく、底辺サバイバル生活を描く。

どうしたって暗く息が詰まるような状況の連続なんだけど、主人公の常にユーモアを忘れないモノローグのおかげで、最後まで楽しく読めるという不思議な小説。

以下多少ネタバレあります。
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同時代のヨロコビ/銀の匙(10)他

『銀の匙(10)』再読。最後、家の酪農業が倒産して、野球を諦め学校を辞めていった(8巻。超名巻!)駒場と、主人公達の交わるところとかほんとすげえ。イヤもう全部すごいんだけど。

『海街diary』『3月のライオン』『銀の匙』
これだけとんでもない漫画が同時期に連載しててリアルタイムで読めることの幸せ感ったらないな。しかも3冊ともめっちゃ売れてるという。日本すげえよ!

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そうそう、『銀の匙』のアニメもかなり出来が良くて、長女と観るのも楽しい。原作忠実系で、おれが全然忘れてるのに彼女が先読みして見事当たったりするのとか、新鮮ですよ。(ノイタミナ枠・hulu)

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『チャッピー』

iTunesレンタルで、字幕。

観終った後の気持ちは、『第9地区』と似ている。手放しで「面白かった〜!」と言える映画ではなかった。
ただきっと後で、もう一度二度、観たくなる。色々な暗喩が(それと気付かなくとも)魅力に昇華している映画の特徴なのかも。理由は分からないけど、観直したくなる。

でも後半のさ、

人の意識(これ攻殻の「ゴースト」だね)をUSBに入れて移動とか、そりゃさすがにないんじゃないかと。その設定はなかなかに呑めない。もともとのAIであるチャッピーと、「人」の意識はちゃうだろうし。「脳波」を伝える機械で意識がコピーできるってのもひっかかる。
↑ネタバレ。

ブリアレオスそっくりのヒューマノイドがほんと普通にスムースに動いているのはちょっと感慨深かった。

★★1/2☆☆

夢メモ

自分が死ぬ時の夢を見た。(来た…)と思った次の瞬間、一瞬で死神?がさらっていって大空に浮かんでいた。「苦痛を取り除いてやる」と言われて「ほんとかよ」と半信半疑だったけど、次の瞬間、すべてが晴れやかに、クリヤになった。本当だった。死ぬ前はとても怖く別れが本当に寂しかったが(そして別れを言い損ねてしまったせいで、さらわれた時はがく然としていたが)、死んでしまったらそんなことはどうでもよくなってしまった。清々しさだけだった。

『インターステラー』

移動中に『インターステラー』4回目の鑑賞。初めての吹替。自分は字幕の方が好きだな。

何度観ても、イヤ見れば見るほど、ミラーの星(海の星)をめぐる一連のシーンは最高だ。「何時間無駄にした?」「おそらく…数十年」この絶望。SFならではのゾクゾク感。

あと吹替だとCASEが妙にカワイイことに気がついた。

インターステラーはどうしても「地球を出なければいけない必然性」にハテナがついちゃうのだけど、それ以外は最高のSF。大好き。音楽も最高。

***************

ラストシーンを観たのは、翌日の朝、通勤時。
空は突き抜けるような快晴。
映画の中のことは決して絵空ごとではないと思える。
我々はあの向こうにある月に行くのさえやっとで、その先のことは何も知らない。

火星も木星も惑星は勿論、恒星なんて、銀河なんて…
自分たちが今存在しているこの空間のことさえ(自分たちが考えた理屈以外に)何一つ「知って」いないんだなぁと思うと、すうーっと意識が平らになる。
そして校了10日前なのに内容決まってないとか、そんなちょろいことはどうでも良くなってくる。
これぞSFの楽しみだよな。

★★★★1/2

  

最近観た映画メモ

たまってきたので後で書く。星は暫定。

『スライ・ストーン』劇場で。★★★☆☆
『インサイド・ヘッド』劇場で。★★★★☆
『ターミネーター4』huluで。★★1/2☆☆
『小さいおうち』huluで。★★★☆☆
『ジェラシック・ワールド』劇場で。★★★☆☆
『バードマン或いは何たらかんたら』iTunesレンタルで。★★☆☆☆
『学校』huluで★★★☆☆
『学校II』huluで★★★1/2☆
『青天の霹靂』iTunesレンタルで再見。★★★★☆

  

1%の強欲資本主義にとって邪魔なもの。と本の大切さ

『沈みゆく大国アメリカ』『沈みゆく大国アメリカ<逃げ切れ!日本の医療>』の著書を通じて「命の沙汰も金次第」になっている「資本主義国」アメリカの現状を暴き、日本の医療の市場経済化自由化に警鐘を鳴らすジャーナリストの堤未果さんのインタビューより。

市民の関心の大切さ、特に平時において自分たちが今持っているものや制度について「守られるが当たり前でしょ」という無関心が、やがては取り返しのつかない事態に繋がってしまうことや、日本とアメリカのそれぞれの良さ(おたがいさまの精神と、1人でも躊躇無く立ち上がる力強さ)などを語ったあとに。

先々週に書店員さんを対象に講演したときにも聞いたんですが、1%の強欲資本主義が、あらゆるものを「商品」にして最も効率良く儲けを出す為に、一番邪魔なものって何だと思いますか?
—–うーん……。
「想像力」です。想像力があって自分の頭で考える市民より、情報を鵜呑みにする消費者のほうがものを売りやすいんです。本は映像と違って主体的になれる媒体です。想像力を奪わないどころか、むしろ想像力を深く大きくしてくれます。アメリカと比べると、日本にはまだ活字文化が生きていて、本を読む人がたくさんいることに私は大きな希望を感じますね。

『みんなのミシマガジン(紙のミシマガジン)2015.7月号』より

新潟県知事と規制委員長対談30分面会

知事は原発事故時にSPEEDIを活用するよう求めたのに対し、田中委員長は「混乱のもとになる。各地域の特性に応じた(避難)計画を策定していただければと思う」と応じるにとどまった。
(中略)
 泉田知事は事故時に甲状腺被ばくを抑える安定ヨウ素剤について、放射性物質の放出前に配る必要があることを強調し、SPEEDIによる予測ができない場合、「どう対応していいか。自治体としては困ってしまう」と述べた。
 これに対し田中委員長は「自治体がSPEEDIを使うのであれば構わない。否定するつもりはない」とした上で「福島事故の経験を踏まえ、避難に伴う(被ばくによる)二次的な被害を出さないよう、屋内退避や待避所を準備してもらいたい」などと応じた。

3.11が存在しないパラレルワールドに迷い込んだのかと思った。
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iPhotoトラブルメモ

【環境】
MacOS10.8.5+iPhoto9.4.3

【症状】
Facebookへ共有していたら、途中からiPhotoでは「共有済み」なのにFacebookにはアップされなくなった。
iPhotoの同期はずっとくるくる廻っている。
そこで、iPhotoを強制終了。
次から起動時に「ライブラリーが壊れているので…」強制終了しかできなくなる。

【修理の経緯】
iPhotoのoption+command起動で
1)アクセス権の修復
2)サムネールの再構築
までやってダメだった。
D/B修復や再構築の前にバックアップを確保したいと思い、
次にタイムマシーンからトラブル直前の「iPhoto Library」を復元。約135GBあったので一晩そのままにして帰る。
復元したライブラリーに入れ替えて起動しても同様の症状(ライブラリーだけが原因じゃない!)。
復元したライブラリーで
1)アクセス権の修復
2)サムネールの再構築
3)データベースを修復
4)データベースを再構築
までやって、やっと起動まで進むようになった。

また、関係ないかも知れないが、上記の(3)が終ったあたりで「フォトストリームのキャッシュ」を削除している。
このページより
ライブラリ/Application Support/iLifeAssetManagement/assets/sub
ライブラリ/Application Support/iLifeAssetManagement/state/sub
さらに
ライブラリ/Application Support/iLifeAssetManagement/assets/sub-shared
(↑Facebookとの連携がきっかけだったので怪しいと思い…)
も削除し、ゴミ箱を空にした。

【分析】
●まず「iPhoto Library」だけが原因でないことは分かった。
●「フォトストリームのキャッシュ」削除が決め手だったかも知れないが、時間をケチったために、そこは切り分けできていなかった。
●「D/Bの再構築」では、「iPhoto Library」以外の部分も修復されるのではないか。
●とは言え以前にはこの再構築がキッカケでドハマリしているので怖い…。

【次回】
●今回は、結果から言えば、タイムマシンから過去の「iPhoto Library」を救出した一晩の時間は無駄だった可能性がある。
●バックアップを確保しないで行うのは不安だけど、でも次回は現状の「iPhoto Library」でまずD/B再構築まで行ってから、ダメだったらタイムマシンで救出、の手順で良いのではないか。

夏らしい夏

タイトルの通り。今年の夏は今のところ、ここ数年記憶にないほど暑くて天気が良い。
海水浴には3回行った。海のすぐ近くに住んでいるのだけど、新潟市で海水浴に行けるチャンスというのは驚くほど少ない。

●すごく暑い
●快晴
●週末
●くらげがいない

これらの条件をすべて満たす週末は、例年なら1〜2回あれば良い方だろう。
それが今年は、7月頭から殆どだ。土日も勘定に入れれば「海水浴できた土日」は10日以上にも及ぶ。まことに夏らしい。いつでも海に行けるなら、こんなに素晴らしい夏はない。

つまりその分だけ平日の暑さも応える訳で…。
やっぱり酷暑と酷冷房のダブル攻撃ですぐ具合が悪くなっています。
まあでも総じてこんな夏の方が好き。

次女と二人で行ったときの恐ろしいほどのムラ焼け(次女に強力日焼け止めを塗ってもらったせい)が、その後の海水浴であっという間になくなりました。長女は潜りが好きになって半日ずっと、休みなくアサリを探していた。嬉しいなぁ。

『ターミネーター:新起動/ジェニシス』

シネコンで2D字幕。
冒頭から、映像に何の「タメ」もけれん味も感じられず、何だか軽い演出で淡々と続いて終わる。全体はそこそこ楽しめるし最後まで観れるけど、どこかTV版の総集編のような印象。ターミネーターシリーズの「新しさ」はゼロ。迫力もない。
ジョン・コナーが初登場シーンからどことなく感じ悪い(単に顔のせいなんだけど)と思っていたら、ああゆう展開になるのか。
うーん。カッコ良さのないターミネーターって、こんなにも物足りないんだね。

★★☆☆☆

『紙の月』

iTunesレンタルで。
とても良く出来た映画だと思うが、描こうとしている主題に興味が持てない。
これって、『私の男』を観たときの感想(→リンク)に似ている…。
そもそも宮沢りえが恋する相手の大学生男子なんだけど、
初登場シーンから最後に至るまで、1ミリも魅力を感じられない
ここだけで物語の吸引力に欠けている。

最後の破滅に至る過程も、「ま、そうだろうね」「ま、そうなっちゃったら、そうなるだろうね」という感想…これも『私の男』と一緒だ(笑)。

あと宮沢りえのステロタイプなカワイくておしとやかな良妻ぶりがすさまじくて、我が家の環境から見ているともはや絶滅した珍獣を見ている思いだ。夫と話す時の声のトーンとか。で、宮沢りえが美しく見えない。自分的には、今までで見た一番美しくないりえちゃんだったと思う。ここでまた吸引力が落ちる訳。

小林聡美がイイ!って聞いてたけども、まぁ勿論彼女はいつも素晴らしいし、色んな映画でその魅力を出しているから、特にこの作品で!という思いはなかった。勿論とても良い演技でしたよ。

汚い部屋で無我夢中になり書類偽造に走るりえちゃんにはちょっとぐっとくる(いわゆるそういう意味ではない方で)。あと最後に走るシーンもイイ。
だけど、その元になるのがあのどーでもいい男子ってのがね…共感度ゼロでした。

★★☆☆☆

『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』

iTunesレンタルで。
評判通りの痛快作。同監督の『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』などはどこか引っかかる所が多くて心から楽しめなかったけど、これは文句なしのエンターテインメント。伊藤英明、優香、長澤まさみなど助演陣誰もがすばらしい演技を魅せる。伊藤英明は言わずもがなだけど、長澤、優香の「実在感」!すさまじい。田舎モノに美人女優が入った時の違和感がない。それだけでも観る価値はある。クライマックスのお祭りの様子も、普通「なんでもありどっちらけ」に行いきそうなところを、映像の重厚感とで絶妙なバランスに落とし込んでいる。

途中、主人公の同級生の大学生「スローライフ研究会」が見学に来た時に、最初一緒に楽しんでいたんだけど、大学生のセリフに対し最終的に主人公がキレるシーンがある。

ありがちな状況だけど、セリフや演出の「頃合い」が良かった。「いつになったら帰れるの?」とか「こういう人達がいるから、俺達の生活が成り立ってるんだもんな。有り難いよ」とかのセリフ、まあ普通に考えそうではあるけど、それ本人達の前では言わないだろうっていう微妙なライン、つまり「敬意」「想像力」が足りない、無知がもたらす振る舞い。その言動に主人公がキレる。
それに対する大学生達の反応もリアルだった(ちょっと逆ギレ的に去っていく。まぁ言った内容からしてもそうなるわな)。1歩間違うとすごくチンケになっちゃうようなやり取り。

でもこの大学生達のセリフの勘違いって、実は映画全体がこんなテイスト(勘違い)になっちゃう危険も往々にして有る訳だなぁ、と思った。
称賛しているようでいて、当事者から見たら腹が立つというよくあるケース。

取材して分かったような気になって、それを感動の材料に使うだけ、的な。あるいは取材の内容はちゃんとして、志はしっかりしているのに、作品に落とし込む時にそうはいかない例とか。

ココの違いは「敬意」が表現されているかどうか、なんじゃないだろうか。観ている人にも(この場合は「林業」に対して)敬意を感じさせることができるかどうか。

この映画は、林業のさまざまな所作の説明も、できるだけ俳優本人を使いつつ、決しておざなりにすることなく丁寧に描写している。そのシーンだけは本当に神聖なテンポになる。このことが、作品全体の基礎となり土台を固める。つまり丁寧なディテールの積み重ねの上に、演者のリアル、セリフのリアル等諸々が積み重なって初めて「敬意」に繋がるのだろう。でもそれって、出来た作品を見てる我々はあまりそうは実感できないけど、実はきっと奇跡のようなことなんだと思う。

いわゆる業界モノ作品の、取材内容の反映のさせ方については、以前『海街diary』について書いたこと(→リンク)に通じるかも知れない。

もう1回観たいな。

★★★★☆

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