新潟シネ・ウィンドさんがFacebookで激推ししていた『無限ファンデーション』の最終上映に。ナイト上映はありがたいな〜!ネタバレ無し感想。
とある発表会を巡る演劇部女子高生の日常を、なんとほとんど「即興」で撮った作品。2018MOOSIC LAB参加。監督は『お盆の弟』大崎章。『リンダリンダリンダ』の監督補をやっていたのを知った時はなるほどと思った。匂いが似ている。
こんな「演技」は滅多に観れるもんじゃないな。どんな演出もきっと叶わない、ドキュメンタリーとすれすれの生々しい演技。当然セリフも被ったりするし。どう展開するかも役者まかせだったそうだ。途中で女子アルアルな分裂に入った時はウチの娘の様子や昔の記憶も被ってちょっとひいちゃうところがあったけど、全体になんとも言えない魅力があって惹き付けられる。で、きっと自宅のTVで見ていたらこうはいかなかっただろう。
(お互いそうだと思うけど、「男だけだったら絶対こんな嫌な感じにはならないよな…」って類いの女子グループのギスギスあるじゃない。アレのめっちゃ静かでリアルな描写があってね。コミュ障主人公が「女子ってもっと素敵な生き物だと思ってた」ってセリフに苦笑)
すごく難しいだろうけど、できれば「即興で撮った」という前情報は無しで観たかった…。ストーリー展開が任されている以上、役者はその後の物語にどうしたって責任を感じちゃう部分があるだろうな〜なんて想像しちゃうし、「後でこうするために、だからこういう反応だったのかな?」って余計なノイズが入っちゃうところがあって。それは残念。
劇中に出てくるウクレレとピアノで歌うシンガー、西山小雨。歌も、天使のような役柄も最高!最高!彼女だけでも観る価値があった。観終わってCD買っちゃったんだよ…。(YouTubeにもあるのでぜひ)
コミュ障で服飾デザイナーに憧れる主人公を演じた南沙良もすごく良かった。『だから私は推しました』のハナを思い出す。これは撮り方なのかも知れないんだけど、南沙良、シーンによって驚くほど違う顔になる。別人?と一瞬思うほど。
即興演出の結果が通常の映画演出を「超えた」とは思わないけど、別物で、これはここでしか観れないものだったし、観る価値はすごくあった。
【苦言】先生役の人の演技がちょっと…。演出をしない、という手法が裏目に出ちゃった例ではと個人的には思う。
女子高(当作は女子高じゃないけど男子生徒は一人しか出ないし殆ど喋らない)の演劇部モノといえば吉田秋生の超名作『櫻の園』、随分前の作品だけどもう1回観てみたいな…
あと藤田貴美の『ご主人様に甘いりんごのお菓子』に入ってる短編が神作で、あれはぜひ映像化して欲しい…
ウィンドでは安藤さくら&井浦新『かぞくのくに』と『ボーダー二つの世界』が面白そうだった。要チェック。