春が来た

3月25日。2日続けて晴天。今朝は既に16度。昨日は車の中が暑くなるほど。ついに3月下旬の大雪もないまま、冬は超えたようだ。新潟県民なら遅くとも年末年始にはおおよそ全員が車のタイヤをスタッドレスに替えるのだけれど、今シーズンまともに積雪を踏んだのは片手にも満たない日数だろう。嗚呼もったいない。雪除け回数もゼロ。そんな2013-2014の冬でした。

  

最近読んだ漫画。

『宇宙兄弟(23)』
『宇宙兄弟』の一番の魅力は「ちゃんと才能のある人達がまっとうに努力をしてまっとうに報われる話」をとことん丁寧に描いている、ということだと思う。
この巻数でいまだにこのクオリティ。ありえない。むしろここからクライマックスに向かって進んでいくカンジに思える。22巻から読み返しても、何度涙ぐんだか分からない。そして打ち上げシーンでは頭の中にあのオネアミスのBGMが鳴り響いていました。

小山氏の作中アイデアのすごさについて前回書いた記事
そうそう、中で出てくるロゴやポスターのデザインがちゃんとしてるのも好感。こういうところでどっちらけたりするんで、作家じゃなくてちゃんとデザイナーに頼まないと明らかに違和感が出てきてしまう。小山氏本人がデザインやっている、という可能性もなくはないけど(だとしたらすげえけど)、まずないでしょう。編集さんだけの考えでもダメだろうし、恐らく本人の希望か。
※ちなみに妻はこれまであさりちゃん程度の漫画しか読まない(他書籍も一切読まない)ような人だったにもかかわらず、結婚してから自分の蔵書(少年青年少女OLファンタジーBLまで…)をすべて読破したのだが、恐らく一番ハマったのが『宇宙兄弟』ではないかと思う。

『青い花(1)』パームカフェでオススメされてメモした。キュンキュンしすぎて少し辛いくらい。この後自分は買うのだろうか。

『ママはテンパリスト』
期待通りの面白さ。そして赤ちゃん&育児漫画好きの長女のお気に入りになるのは間違い無し。全部買う。

『ペコロスの母に会いにいく』
大傑作。今年10本の指に入ること間違いなし。かわいくヘタウマな絵柄とは裏腹な技術力の高さ、頃合いを見計らうセンス、構成の技術に恐れ入るばかり。ずっと持っていたい1冊(親のボケに備えて)。

『ナガサレール イエタテール』
これもすごい1冊だった。東村アキコさんのような類い稀なギャグセンスを持った漫画家が、3.11と親の癌と祖母の認知症に一気に出会いどんなレポートを残すのか。プロ根性に涙が出る。初版のみ著名漫画家数人による応援イラストがついているが、その絶賛ぶりも納得の面白さ。

『もやしもん(13)』
完結した。時に泣いた。以前のレビューで「恋愛がメインでない大学生モノにぐっとくる」と書いたけど、最後は色んなカップルのアレをほのめかすシーンも多い。だけど決してそれありきじゃないんだよね。ハチクロだってそうだったと思う。あれもこれも、shiroの中では広義の「仕事マンガ」なんだよな。
最後は急にファンタジーだったけど、ファンタジーそもそも大好きだし、「あ、そう言えば『純潔のマリア』の人なんだもんな〜」と今さらながらに思ったりしたのが自分で面白い。10年弱、お見事な展開と締めでした。ありがとうございます!

  

ちょっと残念

長女が今季2回目のインフルエンザに。1回目はなんとか逃げ切った両親も、今度ばかりはと妻が捕まった。でも妻の実家が近い上に子供たちは実家外泊大好きなので、困ったら難なく泊めてもらえるし、なんなら義妹や義母が妻の面倒を見に来てくれたりと、至れり尽くせり。大変に恵まれた環境です。恵まれている…のですが。

時折、ほんと少しね、一瞬なんだけどね。恵まれすぎててちょっと残念に思うことがあるのです。こういうタイミングで父親って、普段(やってるつもりで実は)やっていない、マジ家事をやることになって、具合の悪い妻にいちいち聞けず自分で考えざるを得なくなる。見よう見まねでやってみる。そこではじめて気付くわけです。妻がいかに普段すごい量の家事をこなしていたかに。娘達の面倒を見ているつもりで、実は週末だけの美味しいトコどりだったことに。この年1回の気付き、もしくは再確認で妻へのリスペクトが深まり、家庭も円満に保たれる。と。ちと大げさですがそういう面が「一家総倒れ」にはある訳で。成長のチャンスを少し逃しちゃってるなと。イヤでもほんと恵まれててサイコー。言うこと無し。

  

読書とリズム

娘が読書に夢中になっているのを見ながら、自分も寝ころんで本を読む時の、このなんとも言えないシヤワセな気持ち。
我が家のとっても良いリズムができている。
やはりテレビを買おうとは思えない。

  

『パーム』シリーズ最終話がはじまりました。

およそ作者が生きている間に完結するのかどうか、はなはだ疑問に思っていたほどの超大作漫画が2つあります。

一つは永野護『The Five Star Stories』
もう一つは獣木野生(前・伸たまき)『パーム』シリーズ。

どちらも私の生涯ベスト3に入る漫画で(もう一つは宮崎駿『風の谷のナウシカ』)、
どちらも30年以上続いていて、今も現役で連載しています。

なのですが、このたび『パーム』の最終話がはじまりました。3月末に単行本第1巻が発売されます。ついに終わりが見えてきた訳です。こっちもドキドキしてしまいます。
色々機会があって『パーム』シリーズをお勧めすることが最近重なりました。本当に自分の人生観にも大きな影響を与えた作品です。一言では言い表せません。ですけど『パーム』の作者が書いた私の大好きな文章を、この機会に引用したいと思います。以前作者の獣木野生さんがご自分のサイトに書かれていた、「TIME TABLE」というページの一文です。

ところでその前に『パーム』という作品は、作者が中学生の頃に既に全体像を考えていたとそうです。

●中学3年、みんながそろそろ進路を考えるころだったのだが、わたしはすっかり漫画家になるつもりでいた。シリーズ名もなかったPALMではあったが、とにかく自分の書こうとするものが、いつ終わるとも知れぬ大長編なのがわかっていたので、高校や大学に行って、余計な時間を費やすのはたいへん好ましくなかった。たしか夏休み前だったと思うが(定かでありません)、この考えを知った担任の先生が、わたしをたしなめにかかった。とにかく誰でも高校に行くようになっていたころで、中学生くらいの子がバカな思い込みをするのは、先生にしてみればよくあることだったろうから、親切で言ってくれたのだろう。「紙切れでメシは食えないよ。」と先生はおっしゃった。非常に生意気な中学生だったわたしは、「先生、人は食べるために生きるのではなく、生きるために食べるのです。」と返した。
公式サイトより〜Biography/10〜19

「TIME TABLE」というページは今は存在しないのですが(※)、最終話(パームでは「話」と呼んでいるが、その一話が時に10年の連載になることもあった)まであと2話を残すことになった2006年に書かれています。そこで、作者はこれから「最終制作段階に入り」、「PALM完成までの間はPALM執筆以外の活動の停止・制限」を行う。たとえばインタビューやコメント、イベント出演、作品制作以外のイラスト制作などの仕事を行わないという宣言でもありました(多分このあたりのポリシーが変わったからこのページ消しちゃったんじゃないかな)。

※2016年追記:獸木先生がご覧になって、2015年1月にページを復活していただきました。ありがとうございます。
TIME TABLE

その宣言に続いて掲載されたのが、この謝辞のような文章です。なんというのか、あの大好きな『パーム』を書いた人が、このような文章を書いてくれて、私は本当になんというか、嬉しいというか、自分がいつも思っていたことをずばり形にして残してくれたと思ったのです。だけどこのずばりずばりなかんじって、これいくら説明しても分からない人には全然分からないんだろうなぁ。
以下引用します。太字は原文で色変えされていた箇所です。この文章を、大好きな人達に捧げたい。

さて、人間同士がきちんと礼を交わして別れることは意外にまれです。特に作家には決まった退職年齢もなく、読者に改まって感謝を述べる機会もそうありません。
わたしは長い物語を書いているので、話が終わるときには、ずっと読んでくれた人にきちんとお礼を言いたいものだと常々思ってきました。そして今その時が来たようです。
もちろんPALMはあと2話残っていて、そのあとも書くものが残っていますが、人間同士が互いに別れを言い損なうのは、もちろん前もって言っておかないからに他ならないわけで、わたしはこの最終段階の区切り、最後かも知れないチャンスを逃すべきでないと決めました。

考えてみるとわたしの周囲にいる人間は息子以外ほとんどわたしの作品を読まないので、ずっと読んでくれた人とは、たとえ一度も会うことがなくても、ある意味深いつながりがあったと言えます。作家から読者への通常のお礼の言葉は「長い間ご愛読ありがとう」ですが、そんな言葉は大して意味がない。

覚えている人がいるかどうか、わたしはいつかどこかで、PALMが終わるころには何らかの人生の秘密、すべてのわけにたどり着きたい、それをできればみんなと分かち合いたい、と書いたことがあります。
すべてのわけにはやや早すぎるものの、PALMのおかげで今までいろいろな発見があったことはありました。そのひとつで比較的最近のものをここに書いて、感謝を表したいと思います。

それは幸せになる方法です。
多くの人が幸せを求め、まだ来ぬ幸せを待ちわびていますが、幸せの厄介なところは非常に気付きにくいものだということです。蜃気楼のように遠くにいる時はよく見え、近くではまるで見えなくなってしまう。見えないそのわけは、 もちろん自分がその中にいるからです。
わたしを含め、わたしの知っているほぼ全員はすでに充分幸せですが、それを自覚し謳歌している人間は少ない。

どうか今の幸せをのがさないでください。

うちのキャラのひとりが「地獄は死んでから行くところじゃねえ。ここが地獄なんだ。」と言ったことがありますが、それは忘れてください。
「天国は死んでから行くところじゃない。ここが天国だ。」の間違いです。
要するにどっちも事実なわけですが、どうせなら天国を多めに認識してください。
幸せは未来や遠い場所にはない。今ここにあることに気付いて、どうか心ゆくまでそれを味わってほしい。
悪い習慣を遠ざけ、良い習慣を続け、なるべく健康で、五感を研ぎ澄まし、全身でそれを感じてほしい。できれば毎日満ち足りた気分を味わってほしい。
それがわたしの願いです。

おかげさまでわたしの人生も、自分の想像をはるかに超える幸せなものでした。いつも新しい何かにチャレンジする幸せ、難しいハードルを克服する幸せ、何かに命をかけて燃えるように生きる幸せ、無防備に深く激しく愛する幸せを味わった。
今までとこれからのPALMを通して、この幸福をあなたと分かち合えたらと思います。

みなさんの輝く日々を願って。

2006年7月
獸木野生

獣木野生さん、これまでありがとうございます。これから最終回まで、何卒宜しくお願いいたします。

当ブログ関連記事
獸木野生『パーム』トークイベントへ
獸木野生『パーム』トークイベントの動画がアップされています!
獸木野生『パーム』オフ会「パーム・ナイト」開催しました。

  

初めての積雪

週末土日と、初めて雪らしい雪。これは?と思ったけど、一瞬10センチほど積もった後は、結局ほとんど残らなかった。だけど冬の楽しみのお店Rに、ゲストを連れて二日間どちらも行けたので非常に満足。雪って本当に好きだし待ち遠しいけど、周りでそんなこと言ってるのは子供くらいだ。もったいない。あんな素敵なことってそうはないと思うけどなぁ。

  

冬がいなくなった?

その後降雪・積雪ゼロ。昨日などは日が落ちても外気温が14℃!露天風呂に入る楽しみも半減だったよ…(娘2人と行きました)。なんか既に春の気配?気のせいだろうけども。でも本当に冬はどこいったの?という感じの新潟市です。

  

『3.11を心に刻んで』より〜大友良英さん

「ダサいくらいなんだよ、我慢しろよ!」
(NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の主人公、天野アキが親友に向って言う台詞)
********
 80年代以降の僕ら日本人がたどって来た道をたったひとことでばっさり。そのくらい、このことば、わたしには衝撃的でした。
 「ダサい」ってことばは、わたしの記憶にある限り、70年代の後半くらいから使われだしたように思います。それ以降、僕らは、正確にはオレたち田舎育ちの人間は、この言葉に縛られてきました。ダサいと言われたくない=洗練されたい、都会的と見られたい。とりわけ福島に育ち、東京に出てきたわたしのような青年にとっては、切ないくらいの呪縛力を持ったことばでした。都会育ちには、この感じ、わからないだろうなあ。
 この「ダサい」をどうやって克服したかと言えば、自分がそれなりに自分の仕事をするようになり、社会に認められ、海外でも認められ……って、あああ、やっぱ、こう書くとオレめっちゃダセえ。でもそうやって、いつのまにかこのことばが恐怖ではなくなっていきました。
 でも、否応なくそんな過去を思いださせたのが震災でした。なんで福島に原発があるのか。なんで事故がおこったときにこんなことになるのか。そのときに翻弄されるオレたち福島出身者や福島在住の人たち。「ダサい」という言葉に翻弄されていた自分と、2011年の翻弄される福島とがどこかで重なって来て、自分自身正気ではいられないくらい動揺しました。なんでだろう、最初はそう思いました。その謎を見事に解き明かしてくれたのが開沼博の書く『「フクシマ」論』(青土社)でした。「ダサい」に翻弄されていた自分と、田舎に原発が作られる土壌の見事なくらいの一致。震災と原発事故を経て、2012年に入った頃から、自分の残りの人生は地方と中央の問題をどうにかしていくことに焦点をあてよう……そう決心しました。
 そんな中で、自分もその制作に関わって生まれたのがNHKの朝ドラ「あまちゃん」です。あそこには地方と中央の関係が等身大で見事に描かれています。宮藤官九郎さんの脚本は、決して難しいことばを使わずに、日常的なやり取りの中だけで見事にことの本質を射抜きます。今もことあるごとに、わたしはこの言葉を思いだします。なんでだかわかりません。でも、それが、地方と中央の関係を根底からくつがえす原動力になるような気もしています。二度と原発みたいなもんを作らないためにも。
(おおとも よしひで・音楽家)

岩波書店WEBサイト3.11を心に刻んで』より

『3.11を心に刻んで』より〜もんじゅくん

 われわれは、まず、折あるごとに不満を述べあい、議論をたたかわし、役所に苦情の電話をし、新聞や雑誌にすぐれた記事を発見した場合には、手紙を書いて激励しようではありませんか。
 その効果はあまりにも小さく、前途は気の遠くなるほど遥かです。しかし、これが、誰にでもできる唯一の道造りではないでしょうか。
続きを読む

1月の青空

この2日間は美しい青空。正月からこっち、こんな青空が3日くらいあったかな?積雪は最大で5センチほどが2日くらい。

写真 1

『モンスターズ・ユニバーシティ』

DVDで2回目の鑑賞。ネタバレ感想です。

そもそも『モンスターズ』シリーズを観た順番が

10年位前の『モンスターズ・インク』
  ↓↓
2013年末の『モンスターズ・ユニバーシティ』
年間中年始で『モンスターズ・インク』×2回
今回『モンスターズ・ユニバーシティ』

というかんじで、つまり一回目に本作を観た時は『インク』の内容をぜんぜん覚えていなかった。で、『インク』を観返したらそのあまりの完璧な面白さにハマり、イキオイあまって再度『ユニバーシティ』に戻ってきたわけ。やっぱり『インク』の内容を知っていると、全然気持ちが違う。

だけど全体の構成は『インク』の方が断然好き。『ユニバーシティ』は、そもそも多くの割合を占める「こわがらせコンテスト」の意義自体が正直ビミョーでやっぱりちょっとたるむ。勿論shiroの嫌いないじめシーンもあって、別に気分悪くなるようなもんじゃないけど、これも正直中だるみ感。全体を通して「学内ヒエラルキー」がドラマの根底にあるのだけど、正直面倒くさくて、後で明らかな逆転のカタルシスがそれ程ある訳でもない。

『ユニバーシティ』のオレ的見どころは、改めてラストシーンからエンディングだと思った(ゴメンナサイ)。大学を退学させられた2人が、まずは郵便整理係で会社に就職。まったく望んでいない職場だけどクサらずに楽しんでトップを目指す。その後もいくつかのセクションを経験するんだけど、どの場にいても2人のベストを尽くし楽しんでいる様子が写真とナレーションで語られる。最後に、怖がらせやの試験に受かり、あの職場に最初に入るところで、『インク』につづく。

この気持ち良さたるや!

かかっているビッグバンド・JAZZのBGMも最高。一回目に観た直後にソッコー調べて買ったけど、この曲サントラに入っていませんよ(!)。要注意です。
MarchFourth Marching Bandの「Rise Up」というアルバムに入っている「Gospel」という曲です。

あと『インク』の直後に観ると、この10年のさすがのCG進化がよく分かります。天と地ほどに違う。『ユニバーシティ』のバスとかもう実写。マイクの皮膚はもうなんかリアルに生き物だし。だけど、『インク』の感想にも書いたけど、そういった技術的な面はストーリーの善し悪しにはイッコも関係ないのな!
サリーとマイク、このキャラクターの魅力って、ひょっとしてピクサー1かも知んない。今後も続編出るんだろうか。だとしたら楽しみです。

★★★☆☆

年賀状書き

やっと少し、雪遊びができる程度に積もった日曜の朝。明日も祝日で三連休。
今さらですが年賀状ができあがったので宛名書きを。今年からは長女も宛名が書けるようになった(漢字も!)ので一緒にがんばっています。そうだ、がんばってちゃんとした万年筆を買ったのも2013年だった。書くのが楽しい。
自宅のRadikoは今はTOKYO判定。iPhoneの「Radikker」というAPPも教えてもらって非常に充実オレラジオライフ。今はinterFM。

写真

『モンスターズ・インク』を2回観る

9日間というながーい年末年始休暇の間、家族そろって『モンスターズ・インク』を観たのが2回。しかも一回返して、また観たくなったので再度借りてきた。きっかけは『モンスターズ・ユニバーシティ』のレンタル開始だ。娘達はモンスターズシリーズはこれが初体験。ちょうど時間の流れ的には『インク』がこの後なので次に観たら…。面白過ぎてドはまり。上映時間の間一度もダレない。見事な構成。2回観ても少しも飽きるところがなかった。CG的には『ユニバーシティ』の15年ほど前だから全然初期のクオリティなんだけど、そんなん全然関係ねぇぜ!をまさに体で表した、文句なしの傑作。

爆笑問題の田中、いい仕事し過ぎ。吹替版超オススメです。

★★★★☆

小山氏のアイデアにはJAXAもびっくりだ。(宇宙兄弟)

小山宙哉『宇宙兄弟(原作漫画)』の一番の魅力は、劇中に出てくる問題解決策の見事さだ、と以前書いた。「漫画の中」ということを差し置いて、普通に朝刊に大きな記事で出てきそうな凄いアイデアがどんどん出てくる。

今月、TBSラジオ『荻上チキのSession-22』内のNEC WISDOM Squareというコーナーに、『バガボンド』や『宇宙兄弟』の担当編集者:佐渡島庸平氏がゲストで出ていて、宇宙兄弟のとあるエピソードを語っていた。

ローバーのアイデアが漫画に掲載された後、JAXAから問合せが来たそうだ。
「これどうやって取材したんですか?JAXAの一部だけが知っている、今考えているアイデアですよ?」

別に取材でスッパ抜いた訳ではなく、純粋に作者・小山宙哉氏が考えたアイデアだそうだ。小山さんは文系だけど技術者の気持ちになることも上手で、佐渡島氏曰く「ぐーーーーっと」主人公の気持ち、ムッタの気持ちになって、その場で彼ならどうするかをひたすらに考えて考え抜くと、ああゆうすごいアイデアが出てくるんだそうな。

他にも小山氏の新人(当時)とは思えない大物ぶりなどが語られている。(佐渡島氏曰く)まだヒット作を1つも出せていないのに、まるで井上雄彦氏ばりのこだわりと風格だったんだって。なんか想像してた小山氏像と全然違ってて面白い。

こんなエピソードも。
佐渡島氏は「よりメジャーな漫画になるにはフリーハンドではなく定規を使わなくちゃダメ」という助言を小山氏にする。小山氏はすぐに採り入れて定規を使い始めた。だけどそのままじゃなくて、定規にカッターで微細な傷を彫って、気に入るようなラインを自分で探っていた。

「普通はそのまま言う通りに定規を使い始めるか、断固として断るかの、どちらかだと思う。」と佐渡島氏。小山氏はそのどちらも採らずに(いやどちらも採って?)、自分の納得いくやり方を見つけた。そういうところが大物だ。というような意味でラジオで紹介されてた。

だけどこれって、
何だかムッタのエピソードを聞いてるみたいだなぁって思った。

NEC WISDOM SquareのPodcastアーカイブへ

RECENT ENTRIES

LOG

TUMBLR POSTS

    https://hashikutsu.tumblr.com/post/622408242887262208https://hashikutsu.tumblr.com/post/182652239178https://hashikutsu.tumblr.com/post/182652231618https://hashikutsu.tumblr.com/post/182652217923https://hashikutsu.tumblr.com/post/160550592418https://hashikutsu.tumblr.com/post/159711777008https://hashikutsu.tumblr.com/post/157309375998https://hashikutsu.tumblr.com/post/157309232973https://hashikutsu.tumblr.com/post/156577123283https://hashikutsu.tumblr.com/post/156576678528https://hashikutsu.tumblr.com/post/155942114338https://hashikutsu.tumblr.com/post/155942085918https://hashikutsu.tumblr.com/post/155482982578https://hashikutsu.tumblr.com/post/155482952398https://hashikutsu.tumblr.com/post/155482845498https://hashikutsu.tumblr.com/post/155482838433https://hashikutsu.tumblr.com/post/147381995728https://hashikutsu.tumblr.com/post/147381984528https://hashikutsu.tumblr.com/post/144133200103https://hashikutsu.tumblr.com/post/144133161963